5月下旬の衆議院安保法制特別委員会。志位和夫共産党委員長による質問をきっかけに、アフガニスタン、イラクの両戦争に派遣され、帰国後に自殺した自衛官が56人に上り、その発生率は国民平均の数倍以上であることが判明、安全保障関連法案をめぐってメンタルヘルス対策が焦点としてやっと浮かび上がってきた。
安倍晋三首相はじめ政府側は安保関連法案に対する世論の反発が強まり、「7月中にも成立」という日程がずれ込むことを恐れて、将来的にも自衛隊員のリスクは増大しないと強弁し続けている。仮にリスクが増大しないとしても、海外で後方支援に当たる自衛隊員のストレスは非常に大きいことが明らかになった。
リスクの増大を認めない政府側は安保関連法案を受けた形での抜本的なメンタルヘルス対策にも言及しない。これでは「想定していた日程内での法案成立」という国会対策を優先する安倍政権の都合から自衛隊員の精神の健康をおざなりにすることになる。ここに安倍首相が進める新たな法整備の矛盾が表れている。
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