東日本大震災と、それに続く東京電力福島第一原子力発電所事故から3年9カ月が過ぎた。被災地では復興事業が本格化する一方、農業や漁業を生業とする人々が受けた打撃は深刻だ。今も続く放射能汚染で営農再開すらままならない福島県浜通り(沿岸部)の農家。宮城県では、漁業が深刻なダメージを受けている。第1次産業に携わる人々の苦闘を追った。
原野へと返る双葉町 篤農家の夢は幻に
「農業の再開は現実には無理でしょ。だけど、畑を荒らしたままにしていられないという思いはあるね。生きている間は無理かもしれないけど、再生の足掛かりみたいなことをやりたいなと思っている。土が汚染されているのなら、土を使わない農業とかね。一歩でも前に進みたい」
福島県双葉町には、事故を起こした福島第一原発がある。この町で生まれ育った小川貴永さん(44)は、事故から4年近く経つ現在も、故郷の地での農業再建をあきらめずにいる。
大学を卒業して東京で建築の仕事に就いた後、茨城県つくば市の果樹研究所での研修を経て帰郷。原発事故が起きた3年9カ月前、養蜂やニンニクなどの野菜栽培を中心とした小川さんの農業は、7年目を迎えていよいよ軌道に乗りつつあった。
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