清水建設は利益3倍!「ゼネコン好況」の行方 受注環境が改善し、超売り手市場に

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一方、好調だったのが清水建設だ。9月中間決算は、売上高が前年同期比4.6%増の6812億円。営業利益は前年同期比で約2.8倍の160億円を記録した。営業利益は期初見通しに対しても約10億円上回る水準だ。

粗利率を見ると、土木が9.3%と好調。建築の粗利率(中間期時点では5.2%)は今後さらに改善する見通しだが、通期業績見通しの引き上げについて「第3四半期(10~12月期)の決算をみてから」(同社幹部)と保守的だ。

大林組も9月中間決算で営業利益が168億円と、前年同期比で2倍に増えたが、通期見通しを変えなかった。ただゼネコンは下期偏重傾向があるため、中間期までの進捗率を考慮すると、会社計画は慎重すぎるといえるだろう。

大成建設は中間決算では営業利益が192億円と前年同期比11.8%減益となったが、期初予想からは112億円上回った。結果、通期計画も従来の470億円から540億円に引き上げている。従来、建設コストの上昇に伴う大幅な採算悪化を見込んでいたが、コストダウンや追加工事の獲得が順調に進んだことで期初想定より採算が改善したことを理由に挙げている。

 人材不足の余波も

このほか、西松建設、熊谷組、戸田建設、三井住友建設、東急建設、前田建設など、通期業績予想の上方修正をした会社は多かった。ただある準大手ゼネコンによると、「今期後半の受注(価格)交渉にも影響しかねないので、それでも保守的にみている」。さらなる上方修正の余地も残されていそうだ。

活況の余波も出始めている。公共工事を中心に受注が好調とはいえ、技術者や労務者不足がボトルネックとなって受注が制限されており、これが民間企業の設備投資先送りや、発注価格が厳しい地方公共団体の工事入札不調という形で表れているのだ。

こうした中、人員拡大についてゼネコン各社は口を揃えて「過去の二の舞はしない」と否定的。だが、下請け企業では建設現場に不慣れな労働者の雇用も行われており、「最近、現場での事故が増えてきている」と複数のゼネコンが打ち明ける。事故によっては工期遅れを招きかねないだけに、「安全第一は当然だが、これまで以上に工程管理を徹底しなければならない」(大手ゼネコン幹部)。

今後も震災復興、リニア中央新幹線、東京オリンピック関連のインフラ工事、都内の再開発プロジェクトなどに加え、地方でも老朽化したインフラのリニューアル工事などプロジェクトは目白押し。「少なくともあと3~4年ぐらいは、受注環境は良好。東京オリンピック後も建設需要は大きく落ちこむことはない」(建設アナリスト)との見方が多い。当面は、ゼネコンが工事を選べる状況が続きそうだ。

木村 秀哉 東洋経済 記者

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きむら ひでや / Hideya Kimura

『週刊東洋経済』副編集長、『山一証券破綻臨時増刊号』編集長、『月刊金融ビジネス』編集長、『業界地図』編集長、『生保・損保特集号』編集長。『週刊東洋経済』編集委員などを経て、現在、企業情報部編集委員

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