本当に強い大学【2010年版】総合ランキング・トップ100--東大5連覇、京大が阪大を逆転、関学躍進
「科学研究費補助金」は国から大学の研究者または研究グループに、学術研究費として交付される補助金。予算の額が大きく、文科省が研究課題を審査するため、重要な競争的資金の一つとしている。高い研究水準は教育の面でもプラス効果をもたらすという考えから、指標の一つに取り入れている。「教員1人当たり学生数」では、大学がいかに「きめ細かく」学生を見ているかという側面を定量化するため指標化した。
そうした教育力の結果がパフォーマンスとなってどう表れているかを見たのが就職力だ。指標は、「就職率」だけでなく、経営者をどれだけ輩出しているかという「上場企業役員数」、さらに、主要企業に就職した卒業生が、その後得られる給料の額を独自推計した「就職上位層の30歳年収」を指標に加えている。大学別の「生涯給料」については週刊東洋経済2010年10月16日号102ページにランキングを掲載している。
11指標それぞれの計算方法については文末に記載した。なお、国公立大と私立大では、決算方式が異なっている。そこで、財務データを基に算出している経常利益率、自己努力収入比率、自己資本比率、教育研究充実度は、国公立、私立それぞれで偏差値を算出し、その結果を採用している。
以上の指標を用い算出した結果が本記事4ページ以降に掲載した、2010年版「本当に強い大学」総合ランキングだ。
東大が5年連続1位 京大と阪大が順位逆転
トップ100校を見てみよう。1位は東京大学。5年連続の不動の首位だ。何といっても、資金獲得力が他大学を圧倒している。225億円に達する科学研究費補助金(科研費)を筆頭に、受託研究費や寄付金といった外部資金の獲得も多額だ。5年前比で志願者数の12%近い減少というマイナス要因があっても、2位以下に大差をつけている。就職力も、就職率こそ71・1%だが、上場企業の役員数、就職上位層の30歳年収が高水準にあるのが特徴だ。
2位は慶應義塾大学。こちらは4年連続のシルバーメダルとなった。昨年から経常利益率(帰属収支差額比率)のマイナスが続くが、上場企業役員数など就職力の圧倒的な実力に加え、教育研究充実度やGP採択件数など教育力でも高い数値を示している。