フォードがマツダ売却へ 互いにはじく冷徹な計算

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 仮にフォードがマツダ株を放出した場合、マツダにとり課題となるのが海外生産の再構築だ。両社は目下、米国やタイで合弁工場を展開している(中国では長安汽車、フォードとの合弁)。特に米国工場ではマツダが「アテンザ」、フォードは「ムスタング」と、別々の車種を生産し、いずれ見直しになる可能性がある。

もともとマツダは輸出比率が約8割と、日本の自動車メーカーの中で最も高い。そこに一時1ドル80円台に突入した超円高が襲っている。29日には10年度の中間決算を発表するが、他社以上に円高の打撃が懸念される。

新たなパートナー探しも

マツダは新型エンジンだけでなく、トランスミッション刷新や車両軽量化も進めており、15年までに全車種へ搭載する方針だ。ただ日米欧で環境規制が強化される中、10年単位のロードマップが描かれているとは言いがたい。すでに3月、トヨタ自動車からハイブリッドシステム供給を受けることを表明しており、1社のみで生き残りの道を探るのは現実的でない。

その中で浮上するのが新たなパートナー探しだろう。関係者間でささやかれるのが、中国の中堅メーカーで合弁相手である長安汽車などの新興勢だ。スウェーデンのボルボについて、フォードは中国・吉利汽車に売却したが、金額は18億ドル(約1440億円)。「今回フォードがマツダ株を放出しても400億円程度。出資を申し出る新興国メーカーは多いはず」(アドバンスト・リサーチ・ジャパンの遠藤功治シニア・アナリスト)。

といってもかつてのように、主従を伴う会社丸ごとの資本提携ではない。技術や地域ごとに提携相手を随時峻別する。フォードとマツダの関係の“変化”は、より複雑化する自動車業界の潮流を「再認識」させたといえそうだ。

◆マツダの業績予想、会社概要はこちら

(並木厚憲 撮影:風間仁一郎 =週刊東洋経済2010年10月30日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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