「不況は7年間続く」という予測の真実味--ロバート・J・シラー 米イェール大学経済学部教授

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 両教授の研究には新しい経済理論の萌芽が見られるが、それはまだ十分には定式化されていない。“今回は違うシンドローム”は合理的というより心理的な分析であるため、その理論には行動経済学の要素が含まれているように思われる。

ただ、今回の危機は本当に異なるかもしれないと信じる理由はある。現代の危機のすべてが、世界中の経済学者が(市場の完全予見と均衡を前提とする)“合理的期待理論”を絶賛していた時に起こっている。だが今回は、その理論の影響はなく、その意味で異なっているかもしれない。同理論は、バブルの存在自体を否定しており、市場経済は可能なかぎり自由に放置すべきであると主張していた。政府はその影響を受け、市場介入を控える傾向があった。

しかし、現在はそうした考え方は薄れつつある。政府や経営者はバブルに用心するようになり、バブルに対処する政策を採用するようになっている。その意味で、今回は若干異なるのだ。そうなると今までの金融危機を誘因とする数十年に及ぶ経済低迷は(現在の経済低迷と)関係がなくなる。ただし、現在の危機の後遺症は以前より長引かないという期待は、思い付き、理論、夢の範疇にあり、科学的ではない。

鏡を割ったら、7年もの間、不幸に見舞われるというのは事実ではない。それは迷信である。だが、金融市場が崩壊するまで放置すれば、何年にも及ぶ経済低迷に陥るリスクを冒すことになる。それこそが歴史のパターンである。

(週刊東洋経済2010年10月16日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

Robert J.Shiller
1946年生まれ。ミシガン大学卒業後、マサチューセッツ工科大学で経済学博士号取得。株式市場の研究で知られ、2000年出版の『根拠なき熱狂』は世界的ベストセラーになった。ジョージ・A・アカロフとの共著に『アニマルスピリット』がある。

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