東武、大当たりした「ホテルガチャ」企画の裏側 担当者がカプセルに詰めた「認知度向上」の戦略
首都のランドマークとしておなじみの高さ634m、自立式電波塔としては世界一の東京スカイツリーが完成したのは2012年2月29日。同年5月22日に商業施設と一体となった東京スカイツリータウンが開業した。2022年は10周年のアニバーサリーイヤーにあたる。
2012年3月17日のダイヤ改正では、東武鉄道伊勢崎線の浅草・押上から東武動物公園までの区間に「東武スカイツリーライン」の路線愛称が付けられ、最寄りの業平橋駅は「とうきょうスカイツリー駅」と名称が改まった。こちらもいまやすっかり鉄道利用者に定着した、と言えそうだ。
「ホテルガチャ」に長蛇の列
2021年12月16日の朝、スカイツリーの足元の商業施設「東京ソラマチ」に長蛇の列ができた。お目当ては、税込み5555円で東武ホテルグループの宿泊券やレストラン食事券が当たるという「ホテルガチャ」。用意された16プランのうちどれを手にするかは、街中で見かけるガチャと同様、レバーを回して出てきたカプセルを開けてからのお楽しみだ。
カプセルは500個を用意した。引き当てた券が使用できるのは2022年1月4日から3月末まで。気になる中身は、2020年に開業した銀座のホテルの宿泊券や、東京スカイツリー天望デッキにあるレストランの食事券など。東京周辺だけでなく、日光・中禅寺の名門「金谷ホテル」、東武沿線でない仙台や札幌にあるホテルの宿泊券もある。
販売期間は12月16日から1カ月を予定していたが、発売当日に完売した。だが、関係者は初めからこれほどの盛況を予想していたわけでない。東武鉄道の広報も「テレビ各局から前日までに取材依頼がワッと来て関心は高かったが、当日マスコミだけ来てお客さまがゼロだったらどうしよう……と内心ヒヤヒヤした」と振り返る。
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