ドラマ「鉄オタ道子」、制作者が明かす企画のツボ なぜ女性?なぜ秘境駅?プロデューサーを直撃

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――「鉄オタ道子、2万キロ」は旅をした先々での人々との交流を描くこともドラマのテーマになっているとは思いますが、そもそも人がいない秘境駅でのエピソードはどのように考えたのですか

エピソードの構築については、自分自身がADをしていた時代に秘境駅に何日も張り付いて利用客にインタビューを行った時の実体験や、5人いる脚本家の皆さんに自分が担当する秘境駅に張り付いてもらって集めた情報をベースに、なるべくリアルなストーリーを描いてもらいました。

第2話、鉄オタ少女のエピソードより©「鉄オタ道子、2万キロ」製作委員会

鉄オタ少女のエピソードについては、中学受験を控えた少女が塾の合宿を抜け出して1人で秘境駅を訪れるというストーリーなのですが、逃避のニュアンスから道子との世代を超えた友情が芽生えるというストーリーを描いています。

また、ドラマには、第2話で登場した駅員さんや、第4話で登場した船頭さんは役者の方ではなく地元の方にそのまま出演してもらいリアリティを出しています。こうしたことから、ドキュメンタリーとドラマの中間を描くようなイメージでドラマ作りを行いました。

「鉄道ファンの観察眼」との戦い

――ドラマのロケではどのような苦労があったのですか。

ドラマの撮影は3カメ体制で行いました。Aカメが道子を追い、Bカメが景色を撮り、Cカメはドローン撮影といった具合です。列車本数が極端に少ない秘境駅でのロケということもあって、確実に綺麗な列車の映像を収めるために、BカメとCカメは絶対に取り逃すものかという緊張感はあったと思います。

これは放送後の話ですが、ドローン撮影した列車と道子が乗車した列車の微妙な違いを鉄道ファンの方々から指摘され、皆さんの洞察力の鋭さに驚かされました。鉄道ファンの皆さんの観察眼との戦いが一番の苦労かもしれません。

今回改めてドラマ撮影で秘境駅に携わって、AD時代に行った北海道の宗谷本線などの秘境駅で廃駅になっている駅が多いことを知り本当に寂しい気持ちになりました。また、鉄道ファンだけではなく利用者にもそういう思いを感じている人はたくさんいるので、そうした歴史に想いを馳せられるような作品として残していきたいと考えています。

櫛田 泉 経済ジャーナリスト

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くしだ・せん / Sen Kushida

くしだ・せん●1981年北海道生まれ。札幌光星高等学校、小樽商科大学商学部卒、同大学院商学研究科経営管理修士(MBA)コース修了。大手IT会社の新規事業開発部を経て、北海道岩内町のブランド茶漬け「伝統の漁師めし・岩内鰊和次郎」をプロデュース。現在、合同会社いわない前浜市場CEOを務める。BSフジサンデ―ドキュメンタリー「今こそ鉄路を活かせ!地方創生への再出発」番組監修。

 

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