北総鉄道「運賃値下げ」、乾坤一擲の勝負の行方 通学定期の下げ幅64.7%には誰もが驚いた

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第2期線が開業した1991年度の輸送人員は1日平均約4万5000人程度に過ぎなかったが、成田スカイアクセス線開業を迎えた頃から10万人に迫り、2015年度に突破した。収入(運輸収入と線路使用料)も1991年度とコロナ禍直前の2019年度の比較で3倍以上となった。

「とはいえ、高砂―新鎌ヶ谷間の建設費支払いは続いており、その他も含めて600億円を超す有利子負債を今も抱えている。闇雲に値下げをすれば、たんなる減収施策となってしまう。原資の中で精一杯の範囲で、そして最大限に効果が発揮される方法について議論に議論を重ね、今回の経営判断に至り、昨秋、2022年10月より運賃値下げを実施すると公表した」と状況を説明する。

北総鉄道としての普通を京成成田スカイアクセス線列車としてのスカイライナーが追い抜く。普通の車両は京成から乗り入れた京成3700形(新鎌ヶ谷)(写真:山井美希)

実施は今年10月の予定なのに、その1年近く前から駅のあちらこちらにポスターが貼られ、広報誌に掲載されている。通常であれば運賃改定発表は半年程度前である。しかし住宅市場が大きく動くのは1月や3月であり、それを少しでも早く先取りする必要があったのだ。

もちろん沿線だけの告知ではない。子どもを授かったファミリーが祈願に訪れる水天宮(東京都中央区)の前や、大型書店では育児書に同封してもらってチラシを配るなどの策も講じる。

「将来に生きていくための決断」

今、脚光を浴びて利用が伸びているのは千葉ニュータウン中央駅と印西牧の原駅に集中。それに対して西白井―小室の駅圏では伸びが止まってしまっている。

『鉄道ジャーナル』2022年4月号(2月21日発売)。特集は「ニュータウン鉄道」(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

そのため将来に向けて白井市とは昨年3月、地域活性化に関する協定を結んだ。以前は北総線の高運賃を巡り、一部の沿線自治体との関係が冷え込んだ時期もあったが、やっとこのような関係性も築けるようになってきた。

「今回の値下げをトリガーに、若い世代に入ってもらい、様子見だったデベロッパーにも動きだしてもらい、沿線開発や沿線活性化に弾みをつけたい。とにかく将来に生きてゆくための決断。乾坤一擲の勝負をする思い」と語る。

この値下げに先立ち2月26日のダイヤ改正では、ニュータウン域内での流動を促すため、平日は朝ラッシュ後の時間帯と夕夜間に計11本、土休日も4本、新鎌ヶ谷と印西牧の原(1本のみ印旛日本医大)の間の増発も実施する。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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