北総鉄道「運賃値下げ」、乾坤一擲の勝負の行方 通学定期の下げ幅64.7%には誰もが驚いた

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保全された森を横切る堀削区間から高架の松飛台駅へ。車両は北総鉄道7300形で京成3700形と同一設計だが帯色が北総カラーの青の濃淡2本(写真:山井美希)
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2022年4月号「攻めに転じた北総鉄道」を再構成した記事を掲載します。

千葉ニュータウンを走る北総鉄道は、肝心のニュータウン開発の難航やバブル期の土地価格高騰などを背景に開業以来運賃が高く、これまで散々批判されてきた。しかし2021年11月、かねて検討中と伝えられていた値下げについて、国土交通省に運賃変更の届出を提出したと発表した。

全体としては15.4%の引き下げとされるが、何もかも同率ではなく内容は非常に戦略的である。すなわち普通運賃は11.6%減で最低運賃が210円から190円となり、最大では100円安くなるものの、それでも水準的に高い印象は拭えない。通勤定期も13.8%減で千葉ニュータウン中央―高砂間は1カ月で2930円安くなるが、そちらも3万円台は変わらない。

だが、こと通学定期は64.7%減もの下げ幅で上記区間が現行1万4350円から9500円安い4850円になると示され、多くの人を驚かせた。

2022年度の累損解消が背景に

会社負担の通勤定期と違い、通学定期は全額家計に負担がかかるから、ということが背景にある。

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ニュータウンの鉄道は住民が減って町が衰退すると鉄道自体も立ち行かなくなる。そこに近隣の他の住宅地との競争も生まれる。そのような環境で持続的に成長するには、新しい人に選ばれ、定着できる沿線にしなければならないのである。

だが、通学定期の値下げが今になったことについて北総鉄道企画室の金田直樹部長はこう話す。「運賃水準が首都圏随一の高さであることは、会社としてもはるか昔から懸案だった。しかし、累積債務を抱える中ではどうにもならなかった。だがようやく、2022年度中に累損を解消できる見込みがつき、2021年6月の株主総会で運賃値下げの可能性について検討する旨を表明した」。

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