「5歳未満のワクチン」に米専門家から疑問の声 データ後回しの「前のめり審査」に大批判

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セント・ジュード小児研究病院の小児感染症専門医で、ファイザー・ビオンテックのワクチン治験にも関わっているディエゴ・ヒジャーノ氏は、5歳未満の接種が4月に開始されたとしても3回目の接種が終わる「夏までには、『懸念される変異株』がすでに蔓延している可能性は間違いなくある」と言う。

これに対し、「今後に備える」というのは、3回接種の治験データが出る前に承認を急ぐ有力な理由とはならない、と警告する研究者は少なくなかった。

アルツハイマー薬審査の「あしき前例」

5歳以上の年齢層についてはワクチンの安全性は確認済みであり、思春期や若年層にごくまれに生じる心筋炎などの副反応リスクは、思春期前の子どもではさらに小さくなる。それでも、小さな子どもを持つ親の間ではワクチンを忌避する傾向が強い。

FDAは昨年10月、5~11歳を対象にファイザー・ビオンテック製ワクチンの接種を承認したが、アメリカ疾病対策センター(CDC)のデータによると、アメリカに2800万人いる同年齢層の子どものうち、2回接種を済ませたのは5人に1人にとどまっている。

FDAは目下、効果が不確かなアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」を承認したことで猛烈な批判にさらされている。カナダのサシュカチュワン大学ワクチン・感染症機構のウイルス専門家、アンジェラ・ラスムセン氏によれば、5歳未満を対象にしたワクチンの承認はさらに波紋を広げる可能性が高く、規制上の判断を誤れば(反ワクチン派から)ワクチンの信用をおとしめる目的に利用される事態も考えられる。

(執筆:Apoorva Mandavilli記者)
(C)2022 The New York Times Company

*原文は9日付。本翻訳はFDAによる11日の方針転換を受け、東洋経済オンライン編集部で一部表現を加筆修正したものになります。

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