「いま何歳?」質問する人は思考停止している訳 「ライフシフト」で指摘「年齢に対する大誤解」

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年齢の概念が単一でないことは、「あの人は年齢の割に元気に見える」「もう立派な年齢なんだから、そんなことをしては駄目だよ」「今日は年齢を感じずにいられないよ」といった表現にもあらわれている。

年齢の可変性が高まると、これらのさまざまな年齢がますます一致しなくなる。いまの子どもたちが60歳になる頃には、生物学的年齢が暦年齢と大きく食い違うケースも多くなるだろう。自分自身をどのように見るかと、ほかの人たちからどのように見られるかの間にも、大きなズレが生じるかもしれない。

そのような時代には、暦年齢の節目を基準に人生のストーリーを形づくることができなくなる。

この新しい状況に適応することは簡単でない。これまでは、もっぱら暦年齢を基準に年齢を測り、それを土台に3ステージの人生を組み立てていたからだ。教育制度や社会慣行や政府の政策も3ステージのモデルを強化してきた。

18歳で大学に進学し、20代か30代前半で結婚し、65歳で引退することが当たり前と考えられていたのである。

もっとも、人類はつねに暦年齢を基準に行動してきたわけではない。誕生日をパーティーで祝うという習慣も、20世紀になるまで存在しなかった。人類の歴史のほとんどの期間、人々は自分の誕生日はおろか、生まれた年すら知らなかった。

19世紀に入って政府が正確な出生記録を収集するようになってはじめて、暦年齢が年齢の主たる基準になったのである。それ以降は、暦年齢が人生の基本的な時間的枠組みになった。

その結果として、ある種の数値決定論が幅を利かせるようになった。社会規範や社会の常識、人がみずからの人生についていだく想定は、生まれてから何年経ったかという数字にひも付けられるようになったのだ。

そうした数値決定論は重大な誤解を招くものであり、年齢に関する先入観を生み出し、人々がみずからの人生とほかの人たちの人生について考える際の思考の幅を狭めてしまう。

老いるとはどういうことか?

人はみな、人生のストーリーを歩むなかで、「若いとはどういうことか」「老いるとはどういうことか」について自分なりの感覚をもつようになる。

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