この冬「東京都心が2度も積雪」に見舞われた理由 1/6~7に続き2/10~11も、今後も首都圏で雪のおそれ

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これだけ立て続けに雪が予想されるのはなぜでしょうか。

前述しましたように、首都圏が大雪になる原因は南岸低気圧です。「冬型」といわれる西高東低の気圧配置が続きやすい時期から、高気圧と低気圧が次々に日本付近を通過する時期に移行してきています。真冬と比べて、南岸低気圧も多くなる頃ということです。

ただ、南岸低気圧が八丈島付近を進んでも、気温が高ければ雨になります。

雪を予報するのに、もう1つ大切なポイントは寒気です。平地で雪が降る目安は、上空1500メートル付近で-6℃以下といわれますが、首都圏の場合は-3℃以下でも雪になることがあります。

今シーズンは、ラニーニャ現象の影響で、上空に寒気が南下しやすい状況が続いています。

寒気が流れ込んでいるところに南岸低気圧が進んでくると、首都圏で雪が降ります。

2022年2月14日の寒気予想(出所:weathermap)

2月14日は、ギリギリではありますが雪が降る目安の寒気が流れ込みそうです。この状況で予想されている通りに南岸低気圧が進んできたら、首都圏で雪になる可能性があります。

雪の注意点

首都圏で大雪になった時の注意点の1つは、交通機関の乱れです。可能であれば在宅勤務にする、前日までに食品を購入しておくなど外出を控えることをおすすめしますが、移動が必要なときには時間に余裕をもって行動しましょう。スタッドレスタイヤやスノータイヤなど冬用タイヤではない車の運転は避けましょう。

雪道にはスタッドレスタイヤやスノータイヤ、タイヤチェーンなどが欠かせません(写真:YsPhoto/PIXTA)

そして、雪が降った翌日は路面が凍結しているおそれがあります。歩幅は小さく、足裏全体で地面を踏むように、ペンギンをイメージして歩くと良いです。スノーブーツなどゴム底の滑りにくい靴がない、雪の日のためだけに買うのはもったいなければ、靴底に装着できるアイススパイクがお手頃でおすすめです。

2022年1月7日の都内某所(筆者撮影)

こちらは先月の雪の翌朝に、東京で撮影した写真です。横断歩道は車や人が踏み固めていて、他の場所よりつるつる滑りやすくなっていました。歩道橋やマンホールも凍結しやすい場所です。

そして、日陰などでは路面凍結が数日続くところもあるので、気をつけてください。

久保井 朝美 キャスター、気象予報士、防災士

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くぼい あさみ / Asami Kuboi

愛知県岡崎市出身。9月20日(空の日)生まれ。NHK総合「サタデーウオッチ9」気象キャスター。父の影響でよく登山をしていて、天気に興味を持つ。農業の経験や番組で気象情報を担当したことから、気象と生活・経済との密接な関係を実感し、気象予報士の資格を取得。子どもからお年寄りまで分かりやすく、命を守る情報を伝えるため、テレビに出演、全国で講演を行なっている。趣味は、お城めぐり、アニメ。2021年「美人すぎるお天気キャスターランキング」1位に選出。

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