灘高コンビが起業「少人数オンライン授業」の魅力 子どもが夢中になるのは「テーマ選び」と、〇〇

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しかし、そうした生徒たちが4年経つと、見違えるように優秀な学生に生まれ変わるのです。では、日本の大学生とどこに差があるのか。それが主体性、向学心なのです。つまり、「探究」と「活用」に関しては米国のほうが強い。大学4年間で「探究」と「活用」の力がついていれば、「習得」の力という点でも日本型教育を軽く超えてしまうのです。

それを私はMITで身をもって実感しました。「こんなヤツでも主体性や向学心だけでここまで伸びるのか」と。しかも、そんな彼らは本当に幸せそうに学習をしているのです。これは実際にその場にいないとわからないかもしれませんが、自分のやりたいことをやって、それを本当に幸せだと感じている。そこが日本の大学と異なるところです。

(右)前田氏。米マサチューセッツ工科大学電子工学部卒業時の写真(左)趙氏。東京大学大学院薬学研究科を修了し、薬学修士を取得した時の写真

――一方、趙さんは東大の学部と大学院で学びを経験しています。最近は日本の有力大学の学生が米国の学生と比較されることが多いように感じますが、その点はいかがでしょう。

 東大でも研究者になる学生をはじめ、優秀な学生は少なくありません。しかし、全体としては米国の学生に後れを取っているのかもしれません。それは日本では大学に入学すると大半の学生が勉強を続けることがかっこいいとは思わなくなってしまうからです。勉強しないことが当たり前となってしまうのです。それは就職活動が影響しているように思います。日本の就職活動は、むしろ米国の大学入学の選抜方法と似ており、学力以上に人間性やコミュニケーション能力などが求められ、学生はそれらを伸ばすことのほうに力を注いでしまうのではないでしょうか。その意味では、これからは日本の大学も入学の方法を変えていく必要があると考えています。アジア圏を見ても、教育の「習得」という点で、中国は方向転換を図っており、受験競争というのも、もはや日本と韓国だけという状況になりつつありますから。

――日本の有力大学では先生の多くが研究者志向で、授業を重視していないことも要因として大きいといわれていますが、そこはいかがでしょうか。

前田 米国の大学では先生の授業が成績評価される仕組みがあります。出世にも影響し、そこで評価の悪い人は淘汰されていく。結果的によい人しか残らないのです。米国では、授業は研究の片手間でするものではないのです。もし研究者として優れている先生でも、授業が下手であればそもそも教えなかったり、少人数の授業のみを受け持ったりすることで役割を分担しています。米国の大学では教えることが上手な先生ほど大きなクラスを担当することが当たり前なのです。

――なるほど。全体としていえることは、やはり日本の学生も米国のように「探究」と「活用」の力を身に付けることが重要だということですね。そこには主体性、向学心が欠かせない。まさに、それらを学ぶための場である「スコラボ」をこれからどのように発展させていきたいと考えていますか。

前田 スコラボは、子どもたちが主体的に好きなことを学べる、そんな授業が数多くそろった百貨店のような場所にしていきたい。スコラボのビジネスモデルは既存の教育のモデルと違うので、今までの公教育や、既存の学習塾がカバーできなかった領域にも踏み込んでいきたいと考えています。また、社会人で教えたい人たちを講師として迎えることで、子どもたちのロールモデルになるような憧れの人を見つけられるような場にもしていきたいと思っています。学校というコミュニティー以外でも、こんな大人がいて、魅力的な仕事をしていて尊敬できる人がいるということを子どもたちに伝えたいのです。いわば、主体性、向学心と、なりたいロールモデルをつなげていける場にしていきたいと考えています。そうやって、社名のMinedが意味するように、子どもたちの才能を“掘り起こして”いきたいと思っています。

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