「使えない大人」を量産する教育に足りないもの 現代社会に必要なのは「親世代が知らない学び」

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
品田 健(しなだ・たけし)
聖徳学園中学・高等学校学校改革本部長
東京学芸大学教育学部B類国語科卒。Apple Distinguished Educator class of 2015、Adobe Education Leader 2020、iTeachers Academy理事。副校長を務めた桜丘中学・高等学校では、次世代教育開発担当参与としてICTの導入・活用を推進した。2017年4月より現職

品田氏は、閉じた教育に欠けているのは、自発的な学習につながる「創造性」だと繰り返す。これからの教員が子どもたちに示すべきは、好奇心や探求心を刺激する多様な課題だ。その答えは閉じた教室内では到底得られず、子どもたちの関心はおのずと外へ向く。優れた課題によって教室は現実社会とつながり、開かれた学びの場に変わるだろう。そうした教育を実践する教員には、特徴があると品田氏は言う。

「共通するのは、教員自身もクリエーティブな学びや活動を楽しんでいるということです。そしてその楽しさを子どもたちに押し付けるのではなく、自分が楽しむ姿を見せることで伝えようとしています」

激務が教員の余裕を奪う現状を指摘しつつ、品田氏は「社会で学ぶ大人の姿を子どもに示すこと」の重要さを説く。

「例えば学校内なら、放課後に教員が図書館で本を読んでいるとか、教員同士が集まって議論しているとか、新しいツールの研修をしているとか。子どもに本を読ませたいなら、ただ家に本を置くだけでなく、家族が読書に親しんでいる姿を見せる。iPadなどのデジタルツールも同様です。子どもがスマホに夢中で困るといわれますが、通勤通学の車内では、大人のほとんどがスマホに夢中です。スマホが悪いわけではありませんが、その多くが動画を見たりゲームをしたりしている。そうなれば当然、子どももそんなスマホの使い方しかできません。もし大人がスマホで勉強していたら、子どもだって変わるはずです」

大人が楽しんで学び続ける社会は、子どもの好奇心も自然に受け入れ、誰にとっても優れた学びの場となるだろう。社会とつながる学びを子どもに提供するには、その社会を形成する大人自身が学ぶ必要があるということだ。

(文:鈴木絢子、注記のない写真:ヒダキトモコ)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事