空前の活況も喜べない、豊作貧乏の半導体ウエハ
それでも儲けが薄いのは、金融危機時の需要急減で大きく下がった価格が要因だ。両社とも半導体メーカーに値上げを要請し、200ミリウエハは需給逼迫感から多少改善したようだが、「300ミリウエハの価格は07年度下期の水準に対し5割を切ったまま」(SUMCOの田口社長)。
今後は韓国サムスン電子や東芝など主要半導体メーカーが相次ぎ増産を計画。11~12年にかけウエハの需要が一段と増えることも期待される。
だが増産には慎重だ。「現在の価格が3~4割上がらないと投資分を回収できない」と両社は口をそろえる。SUMCOはリーマンショック前に投資した月30万枚分の未稼働設備を抱えるが、稼働の計画は立てていない。増産に慎重姿勢を示すことで値上げを狙うためで、この考え方は信越化も同じだ。一方で、下位のウエハメーカーである米MEMCが生産能力の拡張に動くなど、足並みはそろっておらず、思うように値上げが進まないおそれもある。
「300ミリウエハは、業界全体で供給能力が依然として需要を上回っている」とゴールドマン・サックス証券の横尾尚昭マネージング・ディレクターは指摘する。かつて好況時に供給能力を大幅に高めたことが値上げの壁となっている。2強の悩みは深い。
(武政秀明 =週刊東洋経済2010年9月18日号)
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