マクドナルドと吉野家の「面」と「点」《それゆけ!カナモリさん》
■牛鍋丼投入から見える吉野家の点へのこだわり
9月2日。東京・赤羽の吉野家本社にて、「新メニュー・牛鍋丼」のメディア向け製品発表会が開かれた。その冒頭。各メディアが伝えるところによると、同社の安部修仁社長は硬い表情で、前年比15%ダウンという大変厳しい状況が今年に入って続いていると明言。「顧客からは『吉野家はどこへ行くんだろう』という声も聞かれた」と語ったという。本日、9月7日10時より全国発売が開始された、吉野家「牛鍋丼」。自社顧客の競合流出防止と、競合顧客吸引という、まさに社運をかけた新メニュー。人気の牛豚丼、豚生姜焼き定食などの豚メニューも販売を停止して「牛」にかける意気込みを見せている。果たしてその実力はいかほどか? 「どこへ行く?」に象徴されるように、熾烈な牛丼戦争の渦中において、吉野家は価格やメニュー政策、キャンペーン展開において様々な係争を繰り返したと市場関係者はいう。しかし、今回の新メニューの投入において、吉野家は腹をくくって狙いを絞り、ブレないピンポイントな戦略に切り替えたことが見て取れる。新メニューの「牛鍋丼」は、牛丼の具材である牛肉・タマネギに、しらたきと豆腐を加え、甘めの味付けのすき焼き風に仕上げた。注目は、牛肉以外の具材を用いることと、牛肉を変えること。吉野家の一番のこだわりである「米国産ショートプレート部位」から、「米国産その他の部位+豪州産」へと牛肉の肉質を変更した。その結果、280円という「定価」を実現し、今まで競合対抗で無理をして実現していた280円という価格を、新メニューの定価に据えた。それによって牛丼の380円の価格を守ることもできる。
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