米国の金融危機対応はまだ終わっていない--ベスト経済書『バーナンキは正しかったか? FRBの真相』の著者、デイビッド・ウェッセル氏に聞く


金融改革法は十分ではない

--今、米国景気が二番底に陥るリスクが懸念されています。FRBに打つ手はあるのでしょうか。

以前ほど多くの選択肢を持ち合わせていないことは確かだ。ただし、さらなる証券の買い入れができないと決め付ける理由はない。FRBは状況が悪化すれば証券の買い入れを検討することになるだろう。

--グリーンスパンFRB前議長の金融政策が緩和的すぎたという見方があります。

規制が不適切であったことに疑いの余地はない。「市場のことは市場に任せておくのが最良だ。規制はほとんどいつも物事を大失敗に導く」というグリーンスパン氏の世界観には問題があった。最近の米国の経験は、このような世界観が幼稚で単純なものであることを示唆している。

--米国議会を通過した金融改革法は、十分機能するのでしょうか。

十分ではないと思う。かつてのAIGのように巨額のデリバティブを積み上げることはできなくなるだろうが、規制当局の裁量に委ねられている部分が多い。彼らもまた、この前に大失敗を犯した人々と同じ人間であることに変わりはない。

また、住宅金融公社2社(ファニーメイとフレディマック)は、今後大きな損失を出すだろうが、金融改革法はこの点に配慮していない。

--ギリシャ危機後に欧州中央銀行(ECB)と各国政府が果たした役割をどう評価しますか。

ECBはやりすぎではないかと懸念している。トリシェECB総裁は「今ヨーロッパは緊縮財政を必要としている」と主張する。しかし、緊縮財政を実行するには、その影響を緩和する金融支援策が必要だ。ところがECBにはそうした支援を提供する準備ができていない。

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