都心から1時間が決め手、東武「沿線開発」の勝算 東武動物公園や南栗橋の駅前で次々と進行中

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一方、駅の東口は人口4.4万人の杉戸町の玄関口である。杉戸町のルーツは日光街道の杉戸宿であり、現在も日光街道沿いに見どころが多い。杉戸町が誕生したのは1889年で、戦後1955年に誕生した宮代町よりも町としての歴史は古い。東武動物公園駅の開業も1899年で、当時の駅名は杉戸駅だった。東武動物公園が1981年に開業したことに伴い、現駅名に改称した。

そんな東武動物公園駅の西口に大型商業施設が9月16日にオープンした。東武ストアと無印良品がテナントとして入居する。商業施設の隣には1200平方メートルもの芝生の広場が設けられた。市民の憩いの場として開放されるという。

2015年に完成した東武動物公園駅西口駅前のロータリー(記者撮影)

もともと駅の西口には東武鉄道の車両工場があったが、2004年に南栗橋に車両工場が開設されたことで、当地の工場は同年に閉鎖された。ただ、工場跡地の活用法については議論に時間がかかり、駅前に新たに整備された広場の左右に商業施設や複合施設を建設することが2010年にようやく決まった。着工は2013年。駅前のロータリーが一足早い2015年に完成している。

店内には地産地消スペース

今回新たに開業した建物は1階建て。周囲の住宅街と調和するように設計された。東武によれば、建物だけでなくテナントも「地域との共生」を重視しているという。東武ストアの須藤寛明店長は「通常の店舗の売り場面積は300坪(1000平方メートル)くらいだが、今回の店舗は543坪(1792平方メートル)とひとまわり大きいので、さまざまな取り組みが可能となる」と話す。

例えば、店内には地産地消スペースが設けられ、近隣の生産者から届けられる地場野菜や地元で製造された米菓などが売られている。さらに移動スーパーも2台導入して、外での買い物に不自由している高齢者などのニーズにも配慮した。

店内に開設したシェアキッチン(記者撮影)

一方、無印良品の松崎隼人店長は「顔の見える交流を行い、地域に根ざした場所にしたい」と意気込む。無印良品を運営する良品計画は3年前から当地でフィードワークを行い、宮代町と杉戸町の持つ可能性や課題を探ってきた。

その結果、わかったことは農や食の分野で創業意欲の高い人が多いということだ。そこで店舗コンセプトを「地域と何かを生み出す場所」と定め、店内に飲食店の立ち上げや菓子の製造販売にチャレンジしたい人を支援すべくシェアキッチンを開設した。

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