葬式鉄もノーマーク、2階建て電車「215系」の引退

着席通勤需要に応え、1992年に4編成が登場

2階建て車両215系(写真:F4UZR/PIXTA)

「葬式鉄」という言葉がある。引退する車両の姿をカメラに収めようとするファンたちを指し、人気車両の運転終了日には多くのファンが駅にやってくる。ところが、2階建て電車の215系はほとんど話題にもならず2021年3月のダイヤ改正で引退した。現在は順次廃車・解体の段階に移っている。

215系は、「湘南ライナー」などのライナー列車で使用するべく、1992年に登場した車両だ。先頭車を除き、2階建ての構造を採用することで座席数を極力増やし、遠距離通勤客向けの着席通勤に対応した車両として造られた。

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10両編成中の2両がグリーン車、その他が普通車という構成で、10両編成の全体の定員は普通車が830人、グリーン車が180人の合計1010人を誇った。山手線などで使用されている通常の通勤電車では、10両編成の定員は1500人程度だが、このうち着席可能な座席定員は500人程度・1両あたりの座席定員は50人程度で、215系のように1両あたりの座席定員が100人以上もある車両は極めて珍しい。

先頭の車両が2階建てでないのは、走行機器を収めるスペースが必要なためだ。先頭の車両では、2階部分だけとしたハイデッカーの構造を採用し、1階に相当する部分には走行機器を収めていた。また、車内の座席配置は、グリーン車こそ回転リクライニングシートとしているが、普通車では定員を稼ぐべく、向かい合わせのボックス席を採用していた。

消えた15両編成の計画

215系は、1993年までに10両編成4本が造られただけで製造が終了した。登場した当時は10両編成に加えて付属の5両編成も計画されていた。

5両編成が造られれば、15両編成を組んで1列車の定員が1512人となる予定だった。この関連で、先頭部には貫通路があり、非常時には扉を開いて通り抜けができる構造で作られていた。結局、5両編成が造られることはなく、貫通路も使わずじまいとなっている。

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