コロナ感染「過去最多」欧州で何が起きているのか 人々は接種完了者、回復した感染者、死者に三分

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オーストリアのアレクサンダー・シャレンベルク首相は、当初は接種義務化に反対だったと明かしつつ、次のように語った。「この国には、たちの悪いワクチン懐疑論やフェイクニュースをばらまく人たちが多すぎる」。

ドイツとオーストリアのワクチン接種はそれぞれ約68%と約66%に達しており、入院患者の大部分はワクチン未接種者で占められている。コロナ禍が始まった当初は、「集団免疫」の獲得に必要な接種率は70〜80%とみられていた。

ところが、ウイルスが蔓延し、新しい変異株が現れ、ワクチン接種者の「ブレークスルー(突破型)感染」に苦しむ人が出るようになったことから、今では集団免疫は達成不可能と考える専門家が多くなっている。

ヨーロッパが苦境にある理由は

ベルギーのワクチン接種率は75%と高いが、新規感染が増えたことから、政府は在宅勤務やマスク着用義務の拡大など行動規制の強化に踏み切らざるをえなくなった。その結果、21日に首都ブリュッセルのEU本部近くで推定3万5000人が参加する抗議デモが発生。中には石を投げたり、火をつけたりする者もおり、40人以上が逮捕され、警官3人が負傷した。

WHOのハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は先日、ヨーロッパが苦境にあるのは、ワクチンが広く利用できる状況にあるにもかかわらず接種が十分に進んでいないことに原因があるとし、新型コロナによる死亡者は来年2月までにさらに50万人増える可能性があると語った。

「感染が拡大してから手を打つのではなく、最初から感染拡大を起こさないようにする形へと戦術を切り替える必要がある」とクルーゲ氏は述べた。

(執筆:Steven Erlanger記者)
(C)2021 The New York Times Company

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