コロナ感染「過去最多」欧州で何が起きているのか 人々は接種完了者、回復した感染者、死者に三分

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ドイツのアンゲラ・メルケル首相は22日、所属するキリスト教民主同盟(CDU)の会合で、状況は「極めて劇的」であり、最近の感染急増はドイツにとってこれまでで最悪だと述べた。

新たな連立政権の発足を控え、間もなく首相を退任するメルケル氏は、感染第4波に歯止めをかけなければ間もなく医療が逼迫すると警鐘を鳴らし、国内16州にさらなる感染対策の強化を呼びかけた。

ドイツもヨーロッパの他国と同様、住民にブースター(追加)接種を受けるよう強く促しているものの、ドイツで一部が開発されたファイザー・ビオンテック製ワクチンの供給は先細りとなっている。

ヨーロッパ医薬品庁は5〜11歳の子どもに対するワクチン接種を近く承認する構えだが、シェパーン氏によると、子ども向けの1回目のワクチンが欧州連合(EU)諸国に届くのは12月20日以降となる。

オーストリアは接種を義務化

隣接するオーストリアは22日、4回目のロックダウンを開始した。ワクチンが広く利用できるようになってから西ヨーロッパで導入された数少ないロックダウンの1つだ。

さらに同国は2月1日からワクチン接種を義務化する方針も打ち出している。これは西側諸国で初めての措置であり、フィナンシャル・タイムズの論説委員会などからは、個人の自由に対する代償が大きすぎる、政治の失敗の兆候だ、といった批判があがっている。

オーストリアで感染対策に反対する運動を主導しているのは、極右政党の自由党だ。議会で3番目の勢力を持つ同党は、反ワクチンの陰謀論を増幅し、ワクチンの有効性に対する疑念を広げ、一般に馬をはじめとする家畜の寄生虫駆除に使われるイベルメクチンの利用を奨励している。が、新型コロナに関するイベルメクチンの臨床試験は失敗続きで、有効性は今も確認されていない。

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