林芳正氏の鞍替えで「ポスト岸田」抗争激化の内幕 山口での「安倍vs林」の覇権争いが政局にも影響

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この異例のドタバタ劇の中心人物は、山口県連会長の岸信夫防衛相だった。県連の抗議文には、比例中国ブロックの単独上位登載候補に建一氏を外して、現職の杉田水脈(みお)氏を選ぶよう強く求める内容が盛り込まれていた。

これを踏まえて、党執行部は建一氏を当選確実な比例中国ブロック単独候補としての上位登載から外し、縁もゆかりもない同北関東ブロックでの比例32位の単独比例候補に決定。結果的に同ブロックでの小選挙区落選者の増加で、建一氏は次点で落選した。

県連会長の岸氏は安倍晋三元首相の実弟で、杉田氏は安倍氏の後押しを受けて前回衆院選でも単独比例上位で当選した人物。今回の騒動でも、安倍氏は直接、遠藤選対委員長らに杉田氏の上位登載を強く要求したとされる。こうした経過から、党内では「山口のドンの安倍さんが河村家を地元から追い出すための陰謀」(若手)との臆測が飛び交った。

山口の定数減で次期衆院選の公認争いは熾烈に

というのも、次期衆院選では山口県の小選挙区がこれまでの4から3に減る予定で、今回当選した安倍(4区)、岸(2区)両氏に高村正大氏(1区)、林氏(3区)の4人の現職のうち、3人が小選挙区公認候補となる見込み。当然、次期衆院選に向けた公認争いは熾烈を極めることなる。

高村氏の父・正彦氏は党副総裁として第2次安倍政権を支え、安倍氏とも極めて親しい関係だ。ただ、林氏は安倍家と肩を並べる山口の名門政治家一家の跡継ぎ。安倍氏の父・晋太郎元外相(故人)と林氏の父・義郎元蔵相(同)は中選挙区時代に「安倍家vs.林家」の激しい覇権争いを展開しただけに、「次は高村氏がはじき出されるのでは」(山口県連幹部)ともささやかれている。

さらに状況を複雑にしているのは、すでに林氏が岸田派(宏池会)の次期総裁候補として、「ポスト岸田」での総裁選出馬を目指していることだ。「林氏は近い将来、岸田首相の後継者として岸田派の林派への衣替えを狙う」(岸田派幹部)との見方が少なくない。

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