公立初、小中高一貫教育「立川国際附属小」の凄さ 英語は小1から週4時間、第2外国語を学ぶ機会も

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立川国際附属小の教育、3つの特色

同校が掲げる教育内容の特色は3つ。第1に掲げるのは「探究的な学び」だ。探究的な学びには2つの側面があるという。1つは普段の教科などの授業における探究的な学びで、もう1つは探究的な学びに特化した学びだ。

小学校1年生の生活科という教科から始まり、総合的な学習の時間、総合的な探究の時間を経て、それぞれのあり方・生き方に基づく進路実現へとつなげる。教科などの学問と、探究的な学びとを往還させて学ぶ狙いがあるという。子どもたちは、自分なりの答えを得るために、どうすればいいかを考え、行動するための「メタ認知力」を高めることで“学びの方法論”を探る。そうやって、子どもたちが自立した学習者になるためのツールを、小学校1年生の時から身に付けるのだ。

立川国際附属小、校舎内のイメージイラスト

「私たちはこれを“探究の技”として設定し、児童は、“考える技” “調べる技” “表現する技”を意図的、体験的に学びます。『この疑問を解決するために、この方法を試してみよう。これがうまくいかなかったときは、違う引き出しから違う技を使ってみよう』というように、児童が自ら考える力を培います。ゴールは、児童・生徒一人ひとりが自分のあり方や生き方へとつなげていくことです。12年間の探究的な学びを経て、進路実現を目指します。高校1年生では、全員が参加する本校独自の『リーダーシップ・アクションプログラム』を予定しています。生徒は海外でインターンシップやボランティアに取り組み、その経験を基に日本語と英語で論文にまとめ、それを国内外で発表します。その経験を通じて、自分の進路実現につなげていきます」

第2の特色である「語学とそれを支える言語能力」についてはどうか。

「言語はツールであり、ツールとして使いこなせるスキルが重要であることはもちろんですが、もっと重要なのは『何を考え、何を伝えるか』です。英語教育については、小学校1年生から4年生までは、文部科学省の検定教科書がないので、東京都教育委員会が本校のために作成するテキストを使って学習します。内容と言語を統合させて学ぶことを意識したテキストになっており、他教科などでの学びと関連づけて学ぶようになっています。例えば、算数の授業で学んだ足し算や引き算の考え方を活用して、英語を学ぶというイメージです。また、論理的思考力には母国語の習熟は必須ですので、国語や日本の伝統文化も十分に学びます」

加えて、英語だけではなく異文化に触れるために、充実した第2外国語プログラムも用意されている。

「多言語教育『マルチリンガルスタディ』として実施予定です。中学校段階から、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、韓国語、アラビア語の6言語から1言語を選択して授業として学びます。その言語選択において、より主体的に、目的意識を持って、自分のあり方や生き方とも関連づけて選択できるよう、小学校段階では、その6言語すべてと、それ以外の外国語にも触れる、このマルチリンガルスタディ、“出合う”というプログラムを実施します。こちらは、大学などと連携して、主に特別活動として実施する予定です。12年間一貫してこのような多言語教育を行うことができるのは大変わくわくします。児童・生徒もわくわくを体験し、世界には英語以外にもさまざまな言語や文化、考え方があることに気がついてほしいと考えています」

第2外国語として設定した6つの言語の選定基準は、汎用性や地域バランスを考慮して選んだという。このような多様な言語と文化に触れる機会は、学校の枠を超えた準備をしている。

「本校は、『プロフェッショナル・ラーニング・コミュニティ』という“学びの共同体”として、児童・生徒の教育に当たります。この共同体の中心にいるのは学習者である児童・生徒ですが、私たち教員もよりよい教育を求めてつねに学ぶ人として教育実践に取り組みます。また、児童・生徒の教育に関わる保護者の方、外部関係者の方、すべての方とも連携しながらより豊かな教育活動を実施していきます。第2外国語のプログラムに関しては、東京外国語大学や中央大学を中心に、杏林大学、国際基督教大学や関係する機関にも協力の依頼をしています。来年度から1年生での実施に向け、今後、具体的な授業計画を作成していく予定です。また、多様な経験やスキルをお持ちの保護者の方に、『チーム立国バンク』に登録いただき、児童・生徒の教育に協力していただきたいと考えています。このような連携を通じて私たち教員も、よりよい教育の実現に向け、学び続けることができると考えています」

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