低予算ながら数々受賞、映画『闇の列車、光の旅』のキャリー・ジョージ・フクナガ監督に聞く
ホンジュラスに住む貧しい若者たちが、列車の屋根に乗ってアメリカへの密入国を試みる。低予算での制作ながら、2009年サンダンス映画祭の監督賞をはじめ数々の賞に輝いた。ロードムービー、『闇の列車、光の旅』(現在全国公開中)。キャリー・ジョージ・フクナガ監督に作品について聞いた。
--現実に、この映画のように列車の上に乗って密入国する人はたくさんいるのですか。
米国への密入国の手段はたくさんあるし、それこそ数え切れないほどの人が密入国しています。その中でいえば、列車による密入国はわずかかもしれません。でも1つの列車に700~800人乗っていて、それが毎日ですから、その意味ではたくさんといえるかもしれません。
--監督ご自身も列車の上での移動を経験されたとか。
実際に乗ってみないと、この映画は撮れないと思いました。映画に描かれるエピソードを、すべて自分で体験したわけではありません。でも、強盗は実際にありました。夜中に、自分の1両前の車両で銃声がして、たくさんの人がこちらへ逃げてきました。
--もっと予算をかけられるとしたら、どんなふうにしたかったですか。
列車の撮影にはおカネがかかる。それで地上でのシーンを多くしました。でも、もっと予算があるからといって列車の場面を多くするかというと、それはないかな。むしろロケを増やしていたと思います。