幸い家計には「強制貯蓄」が積み上げられていると考えられ(参考記事『日銀「強制貯蓄20兆円の取り崩し」は楽観的すぎる』)、一定程度の「余裕」はあるだろう。「強制貯蓄」の取り崩しは経済再開後の挽回的なサービス消費の原資として期待されてきたわけだが、これが「ダイレクト値上げ」に吸収される展開が想定されよう。
「食品」の値上げに伴い、サービス消費は抑制か
前述した消費者サイドの3つの理由に加えて、今次局面では企業サイドで輸送費などの原材料以外のコストも転嫁する誘因がある。やはり原材料のコスト増を機械的に調整することが多い「実質値上げ」ではなく、総合的な値上げとなりやすい「ダイレクト値上げ」に企業が踏み切る可能性は高いだろう。
今回のコラムの結論をまとめると以下である。今後の個人消費のテーマとして消費マインド悪化につながりやすい「食品」の「ダイレクト値上げ」が浮上してくる可能性が高い。
・2013~2015年の値上げの例から考えると、今後の家計を圧迫する可能性がある
・ 今後増える予定だったサービス消費を抑制する可能性には留意
・ ①「実質値上げ」は一巡した可能性があり、②前回の「実質値上げ」は評価されておらず、③コロナ禍では価格競争の少ないことから、「ダイレクト値上げ」が行われる可能性が高い
・ 「ダイレクト値上げ」による消費マインドの悪化も懸念される
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