これから「食品値上げ」の波が家計を圧迫する 「実質値上げ」ではなく「ダイレクト値上げ」に

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今後の個人消費を展望すれば、ワクチン証明書などを活用したサービス消費が増える方向であることは間違いないと思われる。しかし、食品価格が上昇すれば、本来であれば、サービス消費に使われると期待されていた「強制貯蓄」(コロナ禍で蓄積された貯蓄)が食料支出に費やされてしまうこともあるだろう。

人々に「現状維持バイアス」があることを勘案すれば、「今はなくなっているサービス」を諦めることよりも、「今もある食品などの財」を諦めるほうが、心理的負担は大きい。したがって高水準の財消費が維持されてサービス消費は抑制されるだろう。

「実質値上げ」よりも「ダイレクト値上げ」が増える

「値上げ」は消費マインドに与える影響も大きい。現状では、「食品」と「値上げ」という単語を含んだ新聞記事は値上げが相次いだ2013~2015年と比べて多くない。しかし、この9月は9日時点で14の記事が出ており、前月から倍増しそうなペースで、先行きが懸念される。

企業側の目線では、できるだけマインドを悪化させないような値上げを心掛けたいところだろう。その1つの方法が「実質値上げ」である。販売価格を変えずに内容量などを減らすことにより、消費者がその変化に気がつかず、消費者マインドを維持できることや家計圧迫を回避することが期待される。

しかし、今次局面では以下に示す3つの理由から「実質値上げ」は限定的となり、直接的に価格を引き上げる「ダイレクト値上げ」が多くなると予想される。

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