「ジュゼップ戦場の画家」が伝える戦中収容所の姿 スペイン内戦の政治難民をフランス政府が冷遇
波瀾万丈の生涯を送ったスペイン人画家・ジュゼップ・バルトリ。彼の実話をアニメーション化した映画『ジュゼップ 戦場の画家』が8月13日より新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開予定となる。
劣悪な収容所に押し込められたスペイン人画家
物語の舞台は1939年のフランス。フランス国内にスペイン内戦の戦火を逃れた政治難民が多数押し寄せたが、政府は彼らを強制収容所に無理やり押し込め、冷遇する。収容所の環境は劣悪で、人々は寒さ、飢え、病魔に苦しめられることになる。そんな中、難民の中にいた画家のジュゼップは、自分の正気を保つべく建物の壁や地面にただ黙々と絵を描き続けていた。
収容所の憲兵たちは収容所の難民をさげすみ、暴力と恐怖で彼らを支配していた。だが、そんな仲間たちの振る舞いに嫌気がさしていた心優しきフランス人憲兵セルジュは、仲間たちに見つからないように、こっそりとジュゼップに鉛筆と紙を与えることにする。
人間の尊厳が踏みにじられる状況の中、彼は希望を捨てずにペンを握り続け、そのおぞましい状況を描き続けた。やがてジュゼップとセルジュジュの間には固い友情が芽生えていく――。
本作の監督を務めるのは、フランスの全国紙「ル・モンド」や週刊風刺新聞「カナール・アンシェネ」などでイラストを担当するほか、さまざまなフランスの新聞でグラフィックを手がけてきたイラストレーターのオーレル。
彼は漫画家としておよそ20冊近い本を出版したほか、2011年にはアルジェリア戦争を舞台とした初の短編アニメーション『Octobre Noir』(Florence Correとの共同監督)を制作している。そんなオーレル監督にとって、本作は長編アニメーションデビュー作となる。
オーレル監督がジュゼップのことを知ったのは2010年のこと。とあるブックフェアでジュゼップのおいであるジョルジュ・バルトリの著書を手にしたオーレル監督は、その表紙に描かれていたジュゼップの絵に一気に魅せられたという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら