中国で沸騰、「なぜ日清戦争に負けたのか?」 120年前を起点に語られる民族復興のストーリー
そのなかで出色なのが、国営通信社・新華社による劉亜洲・空軍上将(上将は将官の最高位)へのインタビューだ。国防大学の政治委員である劉将軍は、対外強硬派としての派手な言論活動で知られる。戦略論から小説の執筆までこなす異色の軍人だ。
夫人は李先念・元国家主席の娘である李小林氏で、劉将軍はいわゆる「太子党」(共産党幹部の子弟グループ)の人脈に連なる。中国人民対外友好協会の会長を務める李氏は習主席の幼馴染みとされ、政権中枢に直結するキーパーソンとして日本政府もマークしている。そうした背景を持つ人物の日本観は、習主席を取り巻く人々の発想を探る上で興味深い。
劉将軍によれば、日清戦争は近代史上において中国軍と外国軍の武器、装備の差が最も小さかった戦争だった。にもかかわらず惨敗した理由は、両国の近代化への取り組みの違いにあるという。日本はすでに国民国家になっていたのに、清国は西洋のモノは取り入れても、意識は前近代のままだったというのだ。これは、別に珍しい考えではない。
3.11があったから尖閣を国有化?
彼は一歩踏みこんで、大事なのは「国家戦略」だという。「中国には何世代にもわたる長期的な大戦略や、それを実行しようという意思が欠けている」。一方、日本には大陸を征服するという明確な戦略があったという見立てだ。劉将軍は「歴史上、日本には2つの特徴がある。一つは強い政権が成立すれば朝鮮半島の征服を目指すということ。もう一つは、大きな自然災害のあとには外国への武力行使を求める声が高まるということだ」と主張する。尖閣国有化もそうした日本の伝統的な行動様式に沿っているとの解説つきだが、このあたりは日本人としては首を捻りたくなるところだ。よく日本では「中国には長期戦略があるが、日本にはない」といった論評があるが、先方からは逆に見えるらしい。
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