「高スペック人材」を使い潰す日本企業の問題点 「優秀でも出世できない社員」が生まれる理由

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この第1・第2のタイプでは、頭の良さや職務遂行能力の高さが社内で評価されるうえで裏目に出ているようです。一方、高スペックに実力が見合っていないという第3のタイプもいます。

「早慶などトップ私大の出身者には、帰国子女や付属校からの内部進学などで実は基本能力が低いという“似非高スペック人材”がいます。米国弁護士のような難易度が低い資格の保有者もそうですね。こういう人たちは、周囲からの期待が高い分、ちょっと仕事でつまずくと期待とのギャップに悩むようです。まあ高スペックというだけで採用してしまったわれわれ人事部門の責任も大きいわけですが」(エンジニアリング・人事部門)

高スペック人材は評価に不満を持ちがち

今回、高スペック人材の側にも言い分があるだろうと考え、出世していない高スペック人材にもヒアリングしました。

澤田実さん(仮名)は、関西のトップ国立大を卒業して専門商社に入社し、26年経ちます。同期入社が次々と部長に昇進する中、澤田さんは2つ下の課長職にとどまっています。

「20代の頃、直属の上司と仕事のことで衝突し、極端に低い評価をされて、それから昇進が遅れました。一度低い評価になると、その後も『学歴だけ立派で使えないヤツ』という評価が付いて回りました。若い頃は悔しくてたまりませんでしたが、評価は水物だと考えるようになりました。いまは、自分が良いと考える仕事をして、お客様に喜んでもらえれば十分だと思っています。『どうして澤田さんは出世できないの?』という周囲の視線は、いまでも少しウザイですがね」

もうひとりの望月一志さん(仮名)は、東京のトップ私大を出て輸送機メーカーに入社、アメリカでMBAを取得し、外資系コンサルティングファームに転職したという高スペック人材です。4年前に現在の電機メーカーに転じましたが、年俸は4年前に入社した時が最高額で、それ以降、毎年下がっています。

「この会社に入社して、新規事業開発のプロジェクトリーダーを任せられました。テストマーケティングをするところまでこぎ着けましたが、経営上層部の方針転換でプロジェクトが中止になりました。ところが、なぜだか私のミスでプロジェクトが頓挫したという周囲の雰囲気になり、その後もなんとなく雰囲気で評価が決まっている印象です。挽回のチャンスももらえないので、そろそろ転職しようかと考えています」

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