9割の人が「自分の強み」を知らないという残念 「正しい自己認識」ができれば人生は好転する
自分の強みを知るには、自己認識の精度を高める必要があります。ここで扱う自己認識とは「無意識を主役にする行為」です。
無意識とは、自分で気づけないもの。意識をしなくても勝手に出てきてしまうもの。意図的ではなく本能的なもの。他人から評価されなくても、したくなってしまうこと。無意識下の行動にこそ、生まれ持った才能や信念、他人に振り回されない本当の思いがあるのです。
ただ、無意識であるがゆえに、自分自身の才能や気質、思考の癖、感情に気づくことは容易ではありません。見る努力をしなければ、知る工夫をしなければ、一生知らずに終わってしまうでしょう。いかに無意識に注目できるかが重要となるのです。
自己認識ができるようになってくると、普段は気づけなかった自分を発見した喜びや、これまで意識していなかった思考の癖をコントロールできる楽しさを味わえます。
自分と向き合うことは決して楽な作業ではないでしょう。しかし、その瞬間、その場面では逃げられても、いつか必ず「自分が本当にやりたいことは何なのか?」を考えなければならない局面がくるのです。先送りすればするほど、自分の人生の選択肢は狭まってしまいます。
自己認識は組織の問題も解決する
前述したように、自己認識は一個人のさまざまな問題を解消する万能薬となるだけでなく、組織の多くの課題を解決する魔法の杖になるのではないかというのが僕の考えです。
ある調査では、従業員の自己認識の程度が企業の収益に影響を与えることが示されています。コーン・フェリー・インターナショナルが、アメリカの上場企業486社の株式業績を調査したところ、財務業績の高い企業は、業績の低い企業よりも「自己認識の精度が高い従業員が多い」傾向にあることがわかりました。
デポール大学でマネジメントを教えているエリック・H・ドリーハウス教授は、「Harvard Business Review」の記事で次のように語っています(“Research: We’re Not VerySelf-Aware, Especially at Work”, Erich C. Dierdorff and Robert S. Rubin)。
「チームが効果的に機能するためには、メンバーが、仕事に必要な技術的なスキルと対人スキルを併せ持ち、チームの需要に合わせて自分の貢献できる部分をつねに調整する必要がある。そのために、自分の能力をほかの人と比較して、正しく理解する自己認識が最も重要である」(筆者訳)。
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