保育のDXで「教育の質向上」に挑む起業家の正体 「0歳児からの成長データ」で「要録」に変革を

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「私たちは0歳児から子どもたちの発達や成長のデータを蓄積する立場にあります。とくに子どもの興味関心に関するデータは教育の根源に当たる部分。そうしたデータは就学以降のカリキュラムづくりやGIGAスクール構想下の教育に接続すべきと考えています。具体的には、0歳児からの成長の軌跡を大量の写真や動画、先生のコメントによって誰もがわかる形に整え、小学校に引き継ぐ『要録』を変えていきたい。

そういった考えもあり、現在、幼稚園と小学校を一気通貫で教育する施設とも連携し、データ蓄積に基づいた教育をつくっていくプロジェクトも始めています。子どもの興味関心を時系列で蓄積していけば、次の興味関心も予測できる。ゆくゆくは顔認識機能で『あの子とこの子は仲がよい』といったこともわかるようになるでしょう。子どもの発達や成長が可視化されることで、1人ひとりに合った教育の質の向上や、教育現場のよりよい環境整備も可能になるはずです」

同社のサービスは今、保育園、幼稚園、認定こども園、学童へと広がり、自治体との連携も増えている。例えば、福岡市とは、保育園児の毎日の活動を写真付きで記録する実証実験に取り組んでいる。保育士同士の対話や振り返りに役立て、その情報を保護者とも共有して共に子どもの育ちを考えていくという狙いだ。これも「保育の質の見える化」である。

「私たちのサービスが社会インフラとして機能するためには、保育施設と保護者、自治体、保育関連ビジネスと関係者すべてをつなげてエコシステムを確立する必要があります。子どもに関わる大人がチームになるためのデータ基盤をつくることで子育ての負荷を分散させ、保育者の働き方改革や地位向上だけでなく女性活躍や出生率といった課題解決にも貢献していきたい。

それが最終的に『愛されて見守られて育つ』という子どもたちの権利を守ることになり、教育格差是正にもつながると思うのです。将来的には、そういった子どもの権利を保障できるような社会インフラを世界中でつくっていきたいと考えています」

土岐泰之(とき・やすゆき)
1980年生まれ。九州大学経済学部卒業。2003年住友商事に入社し、リテール・ネット領域におけるスタートアップへの投資および事業開発支援に従事。その後、外資系戦略コンサルティングファームのローランド・ベルガー、日系コンサルティングファームのデロイトトーマツにて、経営戦略・組織戦略の策定および実行支援に関与。2児の父としての育児経験を基に、13年5月ユニファ設立、代表取締役CEO就任。全世界から1万社以上が参加した第1回スタートアップ・ワールドカップ(17年)優勝

(注記のない写真は今井康一撮影)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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