新駅設置に路線延伸、地方鉄道「元気の秘訣」 ひたちなか海浜鉄道社長が明かす経営の軌跡

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――吉田社長は2008年から長年にわたって社長を続けてきましたが、実現できたことと、これから実現したいことは何でしょうか。

地方鉄道に前途がないといわれていたのを、湊線についてはなんとかできたことは「達成できたこと」です。路線延伸に78億円かかりますが、延伸すれば鉄道維持どころか地域活性化のモデルケースになると考えています。

ひたちなか鉄道の吉田千秋社長(筆者撮影)

――社長就任時と現在で地方鉄道をめぐる状況は変わりましたか?

この時期を生き残った路線はどこもそうですが、鉄道を残そうという空気ができましたね。2018年に廃止となった三江線のようなケースもありますが、直線で行けば30分の距離を、鉄道で2時間かけていく線形とか、集落から橋を渡らないと利用できない駅の位置など、湊線の現状とは前提が違います。路線の置かれた前提を考えずに、一様に論じてほしくはないですね。

まだ伸びしろはある

――吉田社長は「ローカル鉄道・地域づくり大学」の代表理事としても、公共交通機関の活性化に尽力されていますね。

はい。長崎、鹿児島、若桜鉄道さんなどで、実現した施策があります。町づくりと鉄道をリンクさせると、町も発展します。鉄道は鉄道だけのものではないということです。湊線で実現したメイドトレインを大手の西武鉄道さんが取り入れたという例もあります。西武さんのすごさは、その後で沿線のアニメを集めて、アニメの鉄道づくりを始めたあたりですね。さすが大手だなと。

――ひたちなか海浜鉄道さんもアニメ「ガールズ&パンツァー」とコラボしたこともありますね。最後に、現在の鉄道状況をどう見ていますか。

コロナで通勤や観光は元に戻らない。それなら沿線の付加価値を創出しなくてはならないと思います。当社では車庫見学に地元の名産品を組み合わせたツアーが好評です。自転車やウォーキングとの連携もできそうです。鉄道の外に目を向けると、思わぬ反響があり、まだまだ伸びしろがあると考えています。

安藤 昌季 乗り物ライター

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あんどう・まさき / Masaki Andou

1973年、東京都生まれ。編集プロダクション「スタジオサウスサンド」代表で、通勤電車の座席から寝台まで広く関心を持つ「座席鉄」。「鉄道ぴあ」「旅と鉄道」「AERA.dot」「週刊日本刀」などで、乗り物・歴史関係の執筆を広く手掛けるほか、鉄道キャラクター企画、ゲームデザイン、イベント主催なども。著書は「教えてあげる諸葛孔明」(角川ソフィア文庫)、「夢の新幹線 ものしり学習帳」(玄光社)「日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き」(天夢人)

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