新駅設置に路線延伸、地方鉄道「元気の秘訣」 ひたちなか海浜鉄道社長が明かす経営の軌跡

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――定期券の改善など地域の利便性向上に力を入れている一方で、派手な観光列車などは導入していませんね。

観光列車はお金がかかるんですよね。当社は高校生が顧客なので、年間定期を実現し「乗ってください」と宣伝したら、潜在需要を取り込めました。

新設された美乃浜学園駅(筆者撮影)

――美乃浜学園駅も顧客を考えて、行政に設置の働きかけをしたのですか。

少子化で周囲の小中学校が統合しまして。美乃浜学園駅は、学校から新駅を呼びかけて行政が動いたのです。弊社も入学説明会のときに説明をさせていただきました。

――通学の足ですね。子どもが鉄道を認識し、顧客になるといいですね。

親しみを持ってもらいたいですね。通学なので単価は安いですが、安定的に収入が得られるのでありがたいです。

ニーズに合わせてダイヤを変える

――新駅としては2014年に高田の鉄橋駅が開業されました。どのくらいの利用者を想定していましたか。

ふたを開けたら案外乗っていただいています。自治会からの要望もあり、自転車置場を増設しました。

――きめ細かい施策が集客につながっているように感じます。

目の前に駅があると利用するのだと感じました。さらなる新駅も検討しています。今までの鉄道業界は「自転車置き場増設」のような「対応が難しくなく、費用が高額でもない」問題で動く意識が乏しかったのでは、と感じています。

私の息子はバスで高校に通っています。始業時刻の3分前に到着するバスがあり、その前のバスは30分前です。このバスが10分前に着けば、バスの乗車率は上がります。でも、一般の方にその話をしたら「利用する側がバス会社にそんなことは言えない」と。

――その提案が実現すれば乗客は便利になるしバス会社も収入が増える、ウィンウィンの関係ですよね。

ええ。でもお客様の距離感はそうなのです。ダイヤを変えるのは難しくはないのですが。

――湊線は利用者の要望に応じてダイヤを変えることはあるのですか。

海洋高校に通う生徒さんの要望で変更しました。船乗りを養成する学校なので、遠方から生徒が来ます。ダイヤ変更で古河や船橋から通う利用者が増えて、増収になりました。

地域に対して調査したこともダイヤ変更に生かしています。調査の結果、地域が湊線を「5~23時まで40分ごとに走る、実用的な交通機関」と認知していなかったことがわかったのです。宣伝したら、通勤需要も増えました。

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