新駅設置に路線延伸、地方鉄道「元気の秘訣」 ひたちなか海浜鉄道社長が明かす経営の軌跡

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――地方鉄道としては40分間隔でも便利ですよね。路線延伸で阿字ヶ浦駅に交換設備を設置して、全線で最短20分間隔にすると報じられていましたが。

勝田―那珂湊駅間は朝夕は10分間隔で運転していますが、この区間と那珂湊―阿字ヶ浦駅間の距離が同じくらいです。阿字ヶ浦駅で交換すれば、全線で同じ運転間隔にできます。毎日そうする必要はないですが、ひたち海浜公園が賑わうトップシーズンにも対応できます。

――路線延伸時に車両数も4両増やすと報じられていましたが、どんな車両を導入されるのですか。快速列車も走らせるそうですね。

編成を3両にして、全線で20分間隔を実現するには必要です。導入車両はまだ決まっていません。よい中古車の出物があるといいのですが。快速については片道35分、5分折り返しで40分くらいにしないと、20分間隔の運行ができないので、途中駅を通過する列車が必要なのです。

――運用上の逆算なのですね。路線延伸はどのように実現できたのですか。

行政からの要請もあり、協議しました。ひたち海浜公園まで伸ばせば、海浜公園利用者200万人のうち、10%が湊線を利用したとしても、今の収支の倍となる2億円の増収ですから、経営は安定します。そうした観点での要請でしょう。

――延伸で年間利用客は50万人増えると報じられています。

それは国に提出した「堅く見た数字」ですね。延長での誘客効果とか、新駅とあわせて整備するショッピングセンターなどは査定に入れていませんので、100万人くらい増えるかもしれません。

延伸工事の資金負担は?

――事業者が建設費の3分の1を負担すると報じられていますが、資金面で問題ありませんか。

現時点では、国が建設を認可した状況なので、お金の話はこれからです。ただ、建設費78億円の3分の1は26億円です。年間2億円増収になるとして、13年で回収できます。一部借り入れの前提で、利子も計算しましたが、10数年で減価償却が終わるという見通しです。こうした採算面と安全性の検討の結果、国から許可が得られました。

鉄道神社として活用する予定のキハ222(筆者撮影)

――ちなみに、引退したキハ222形が鉄道神社になるという話が出ていますね。同じ国鉄形のキハ205形も維持されるのですか。

鉄道神社については、新駅に設置しようと考えています。地域の神社とも協力していきたいです。キハ205については、次の検査までは走らせますが、その後は部品がないのでわかりません。部品を作ると、新車みたいな金額になりますし……。

――ダメならもう一つの鉄道神社にして、ご利益2倍とかに……。

キハ222形と2両連結して、縁結びとかね(笑)。

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