「進化する渡辺直美と時代錯誤の五輪協会」の差

偏見をやめた先に楽しく豊かな世界がある

渡辺直美は2007年にデビューし、すぐにビヨンセやマライア・キャリーの振り付け物まね芸人としてブレイクした。当時の筆者は、恥ずかしながら渡辺直美のポテンシャルを見くびっていた。2008年の27時間テレビの深夜で、明石家さんまのトークコーナーに出演したのだが、同時期にブレイクした鳥居みゆきにキャラクターで圧倒されていたのを見たとき、この芸人は一発屋で終わると思ってしまった。

海外で高まる評価

しかしその後急激に太ると、2010年から2013年までコント番組「ピカルの定理」に出演。個性のあるキャラクターを打ち出すことに成功するが、このころはまだ太っている体型をネガティブにいじられるような笑いを求められていたように思われる。2014年にアメリカ留学したころから転機が訪れる。

きっかけは番組の企画でアメリカの物まねショーに出演したことだという。たまたま見ていたその番組は確かに印象に残っている。渡辺は持ちネタのビヨンセの物まねを披露したのだが、自信満々に立ち振る舞い、アメリカのパフォーマーに負けるまいと、太っている身体を存分に動かしていた。観客の反応もノリノリで、そこにはネガティブな笑いの要素はまったくなかった。

2015年以降、渡辺直美のスタンスが少しずつ変化していく。インスタグラムのファンが増え始め、2017年にはVOGUEの世界のメイクアップシリーズで、動画が世界的に再生された。海外の仕事が増えるにつれて、自分の太っている身体をネガティブに捉えず、体型にこだわらず自分らしさを打ち出すファッションやパフォーマンスを行うようになっていく。国外ファンも多くなり、2018年にはタイム誌の「ネットで最も影響力のある25人」に選ばれ、「日本のステレオタイプに果敢に挑んでいる」と評された。2021年からはアメリカに拠点を移し活動していくことになっている。

渡辺直美の経歴を簡単に追うだけでも、彼女に「オリンピッグ」をやらせることがいかに時代錯誤かがわかるし、佐々木という人物がこの数年のエンターテインメント界のトレンドについてまったく勉強していないかが明らかになる。

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