「進化する渡辺直美と時代錯誤の五輪協会」の差 偏見をやめた先に楽しく豊かな世界がある
渡辺直美自身は、この件を受けて「それぞれの個性や考え方を尊重し、認め合える、楽しく豊かな世界になれる事を心より願っております」と所属会社を通じてコメントを出したが、その後ワイドショーやSNSなどで、「渡辺直美は芸人なので、仮にこの仕事が来たら楽しく引き受けたはずだ」という意見が相次いだ。
こうした意見に対して19日、渡辺直美は自分自身のYouTube生放送で、「仮にオファーがあったら絶対断る」「普通に面白くない」「体型のことをどうこう言う時代ではない」などとリアクションした。「自分自身はブスやデブといった言葉に傷つかない」と彼女は言う。なぜなら、その段階をもはや超越してしまっているから。自己肯定感を持って自分自身を打ち出していけば、そのような罵倒に怯むことはない。ただし、こうしたことが報道することによって傷つく人が出てくることはやりきれないし、古い価値観は変えていきたい、といった内容を、30分以上かけてしゃべっていた。
日本の芸能界の古い価値観と変化していく「女芸人」
2016年、アリアナ・グランデが日本の報道番組「スッキリ」に出演した際、芸人の近藤春菜が司会の加藤浩次の振りに対して、持ち芸の「シュレックじゃねえよ!」「マイケル・ムーアじゃねえよ!」のツッコミを披露した。しかしアリアナ・グランデはまったく笑わず、「シュレックだとは思わない。あなたはとてもかわいい」と真顔で返答した。女芸人の容姿をいじる芸は、この時点で、もはや世界では通用しなくなっていたのだ。
一方、女芸人には容姿いじりが必須という風潮を変えようとしているのは渡辺直美だけではない。先述した鳥居みゆきもその1人で、2月21日に文春オンラインのインタビューで、「容姿なんて、魂がとりあえず入ってる箱です」と述べ、「女芸人」というくくり自体に疑問を呈した。明るくポジティブなキャラクターとして、今テレビでブレイク中のフワちゃんは、渡辺直美の友人だ。
オリンピック・パラリンピックについては、森喜朗の辞任も含め、日本人男性の古い価値観が問題になっている。だから、渡辺直美の「変化」あるいは「進化」について、日本社会の側がむしろ学んでいく必要がある。これ以上の「恥」を世界にさらさないために。もっとも、「手の打ちようがない」コロナ禍に加えて、こうした不祥事が続くオリンピック・パラリンピックが本当に開催できるのか怪しいものだが。
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