継続疑義注記の追加記載に至ったペッパーランチの苦境
ファーストフード型のステーキ店「ペッパーランチ」をチェーン展開するペッパーフードサービスが、苦境に立たされている。2月に実施した第三者割当増資で、一部が払いこまれず予定していた資金調達額が大幅に不足。今後の資金繰りが懸念されることから、3月29日に提出した前2009年12月期の有価証券報告書に、「継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる状況がある」との注記を今月7日付で追加記載するという、異例の事態に発展した。
決算書は会社が継続することを前提に作られる。資産を将来にわたって費用配分する減価償却費などはその典型だ。が、状況によっては継続を前提に決算書を作ることに疑義が生じる場合がある。赤字続きで資金繰りが行き詰まりつつある場合や、今後の営業に重大な支障が生じることが明らかな場合だ。そうしたとき、継続企業の前提に疑義が生じているとして、経営者はその事実と今後の解消策を決算書で書かなければならない。
ペッパーフードは今年2月12日に前期決算を発表。同時点の決算短信には疑義注記の記載はなかった。ペッパーフードは09年8月に起こしたO−157による食中毒事故をきっかけに、売り上げが急減。フランチャイズ加盟店への営業補償金を支払った結果、前期末の現預金は、08年12月期末比4.2億円減の5880万円まで急落していた。
一方、前期末の段階で、今年9月末までに毎月分割返済しなければならない伊藤忠商事に対する買掛金債務(45日サイト)は、3.04億円あった。2月下旬にそれを一括返済するため、同月中旬、第三者割当増資を実施した。しかし、発行期日当日に主要割当先のMAJバリューアップ1号投資事業有限責任組合が払いこみを拒否するという、思わぬ事態となった。同増資で予定していた2.81億円の調達資金は約2億円の未達となった。
今後は、借り入れ、転換社債、第三者割当増資等の資金調達を計画しており、いずれかの資金調達を実行することで交渉中にあるという。ただ、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められ、「疑義注記」の追加記載に至った。
今10年12月期は、出足から想定以上の苦戦を強いられている。「東洋経済オンライン」は、会社の減収増益予想の達成は厳しいと判断し、独自減額した「会社四季報・春号」(3月中旬発売)の予想を踏襲する。