横浜のロープウェー、「片道1000円」納得の理由 移動手段でなく"アトラクション"ならアリかも
気になるロープウェーの運賃は大人1000円、子供500円と、“運賃”としてはやや高めの印象だ。泉陽興業の担当者は「周辺の施設や国内のほかのロープウェーを参考にして決めた」と説明する。年間利用者数については当初200万人を想定していたが「新型コロナウイルスの影響で下振れする可能性もある」という。
みなとみらいにある大観覧車「コスモクロック21」の料金は900円。横浜ランドマークタワーの展望フロアは1000円。ロープウェーも眺めのよいアトラクションの1つと受け止めたほうがしっくりくる。
横浜を代表する観光スポット「赤レンガ倉庫」がある新港地区は、近年開発が進んでいる。2016年に結婚式場やレストラン、専門店が入る商業施設「MARINE&WALK YOKOHAMA(マリン・アンド・ウォーク・ヨコハマ)」がオープン。2019年には大型クルーズ船が発着できる客船ターミナルと高級ホテルが一体となった「横浜ハンマーヘッド」も開業した。
新たな移動手段も増えている。2020年7月23日には、横浜駅前(東口バスターミナル)と山下ふ頭を結ぶ連節バス「ベイサイドブルー」がデビュー。新港地区や大さん橋、山下公園を周遊する移動手段として役立ちそうだ。終点の山下ふ頭は最近「実物大の動くガンダム」で話題を集めている。
ロープウェーは「多彩な交通」の1つ
横浜市は2015年に「横浜市都心臨海部再生マスタープラン」を策定。エリアの回遊性を高めるために「まちを楽しむ多彩な交通の充実」を施策に挙げた。2017年には「設備及び運営等にかかる費用は提案者自らの負担として、公費負担を伴わないこと」として公民連携の提案を募集した。今回のロープウェーや、京急が運行中のオープントップバス(代金は1人1800円)もここから生まれた。ほかにも水上飛行機を飛ばすアイデアなどが検討されている。
泉陽興業の担当者は「1990年に大阪で開催された国際花と緑の博覧会(花博)でロープウェーの運行に参加した実績があったため実現できると考えた。大観覧車を受け入れてくれている横浜市民に恩返しがしたいという思いもあった」と提案の理由を語る。
横浜市都市整備局企画課の松井恵太課長はロープウェーについて「便利に移動するだけでなく、横浜のいちばん代表的な景観を眺めながら街の魅力を発見してほしい」と期待を込める。市は新港地区にある円形の歩道橋「サークルウォーク」にエスカレーターを設置するなど歩行者向けのアクセスの改善も同時に進めている。
足下は新型コロナの感染拡大に油断できない状況とはいえ、レジャー目的の外出がまた気兼ねなくできるようになれば、横浜の臨海部はちょうどよい近場のお出かけ先だ。ロープウェーを使わずとも桜木町駅から新港地区まで、天気がよければ汽車道をのんびり歩くこともできるし、路線バスなら220円で移動できる。みなとみらいを訪れるのはカップルや友人同士、家族連れが多い。ロープウェーの運賃を“高い”と感じるかもしれないが、誰と利用するかによってはプライスレスの思い出となる可能性も秘めている。
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