「みんなのコード」利根川氏らが提言「プログラミング授業」意外な落とし穴と対処法 端末はちゃんと動く?ICT支援員はどう活用?

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「『完全主義』でコンピューターを取り扱うことはできません。PCが急に動かなくなることは、前提として考えたほうがいいでしょう。予備PCを用意するのが難しければ、教科書を忘れたとき隣の児童と一緒に見る感覚で、ペアとなって使うケースも想定しておきたいですね」

ICT環境は「インフラ」だから、専門家の支援が不可欠

「PCトラブルはいつでも起こりうる」という心構えを持つことが大切なのは理解できる。しかし、教員はITエンジニアでもPCインストラクターでもない。「想定外」を想定しようにも、その前提が理解できない人もいるだろう。

だからこそ、文部科学省もサポート体制を整えている。いち早く取り組みを始めたのが、日常的に教員のICT活用支援を行う「ICT支援員」の配置推進だ。2022年度までに4校に1人の配置を目指している。また、20年度は、ICTを活用した指導方法などの助言・支援を行う「ICT活用教育アドバイザー」の相談窓口を開設したほか、ICT導入初期の技術サポートを行う「GIGAスクールサポーター」もスタートした。今回の集中連載で取材をした識者3氏とも、こうしたリソースは積極的に活用するべきだと口をそろえる。小学校校長をしていたとき全国に先駆けてプログラミング教育を実施した合同会社MAZDA Incredible Lab CEO 松田孝氏は、次のように話す。

合同会社MAZDA Incredible Lab CEO 松田孝
東京学芸大学卒業、上越教育大学大学院修士課程修了。早稲田大学大学院博士後期課程在籍中。東京都公立小学校教諭、狛江市教育委員会主任指導主事(指導室長)、小学校校長を3校歴任後辞職。現在総務省地域情報化アドバイザー、群馬県ICT教育イノベーションプロジェクトアドバイザー、金沢市プログラミング教育ディレクター等も務める。著書に『学校を変えた最強のプログラミング教育』(くもん出版)、『プログラミングでSTEAMな学びBOOK』(フレーベル館)がある
(撮影:今井康一)

「実際に授業をやろうと考えて準備を始めると、気になる点がたくさん出てきます。中には初歩的すぎて聞きづらいと思う内容もあるかもしれませんが、そのためにICT支援員がいるのですから、何でも相談すべきです。よく『ICTはツールだから』と一見冷静な反応をして、授業内容に応じた使い分けをしようとする先生がいますが、ツールという捉え方は『必要がなければ使わなくていい』という判断につながるのでやめたほうがいいと思います。Society 5.0(※1)時代、ICT環境はもはやインフラであって、PCは使うことが当たり前です。電気やガスが生活を激変させたように、ICT環境に戸惑うこともあるでしょうが、インフラの保守は専門家の役割なのですから、遠慮なく頼りましょう」

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