エンジニアが育たない国と育つ国の圧倒的違い 中国ではエンジニアが「ヒーロー」になれる

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そういった意味では、GIGAスクール構想も、プログラミングの義務教育化も大きな期待感があります。しかし、プログラミング経験のある先生は多くないと思うので、教える側にとっても適切な教材を提供することが重要です。先生方がプログラミングを教えることに慣れてきたら、もっと教えやすくなるようにカスタマイズできるなど、教材そのものを楽しめる、興味を持てるものにする必要があると思います。 

1人でも子どもが楽しんで学ぶことができる(提供:PFN)

 ――どんなところにほかの科目との違いがあるのでしょうか。

極端なことを言ってしまえば、現在の学歴の高さはいわば「課金ゲーム」の結果のようなものです。学校での学びも重要ですが、腕のいい塾の先生に見てもらうことで学力が向上するという側面も否めません。

一方で、プログラミング教育の現状は、試行錯誤しながらどうやって教えていくかを模索している状況です。また、コンピュータが1台あれば無料のソフトウェアがたくさんあるし、本人に学ぶ意欲があればそこからいくらでもチャンスを広げていくことができるので、教育の格差を解消する可能性もあると思います。実際、私も自分がプログラミングを突き詰めるようになっていったのは自らの意思によるものですし、PCさえあれば自分でどんどん能力を身に付けることができる、強くなれる、と感じて没頭したところからでした。

――そこに注目して初等教育向け教材を皮切りに教育事業に参入していったというわけですね。

そうですね。「学び」との出合いは初等教育がきっかけになることが多く、「反復練習」的な学習に向いている小学校中学年くらいまでの時期にプログラミングに出合ってもらうことでよりひきつけられると考えています。だからこそ、やる気のある小学生がどんどん自分で学んでいけるプログラミング教材として「Playgram」の開発に至りました。

プログラミングに限った話ではないですが、ある程度早い段階でしっかり学ぶことで自分の才能に気づくことができます。ですから、学校の先生には、子どもが興味や関心を持ったときに、どこまでも没頭できるよう、温かく見守っていただきたいですね。

西川 徹(にしかわ・とおる)
Preferred Networks(PFN) 代表取締役 最高経営責任者  
東京大学大学院 情報理工学系研究科 コンピュータ科学専攻 修了
大学院在学中にプログラミングコンテストの世界大会に出場したメンバーと株式会社Preferred Infrastructureを設立。情報検索、自然言語処理、機械学習、分散システムなどの技術を用いたソフトウェア開発、顧客パートナーとの共同研究・開発を行う。IoTの発展に伴い生み出される大規模かつ多種多様なデータを処理する技術として注目される機械学習、特に深層学習への取り組みを加速させるため2014年に株式会社Preferred Networksを設立

(注記のない写真は今井康一撮影)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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