カード再編で新展開、セブン&アイとセゾンが提携
クレジットカード業界で、再編の動きが再浮上した。17日に発表されたセブン&アイ・ホールディングス(HD)とクレディセゾンによる包括的な業務提携だ。
近年、業界では合併や統合が相次いだ。しかしそのほとんどは、メガバンク再編のあおりを受けた大手同士の合併で、すでにヤマを越えている。小康局面にあった中で、突如出てきた今回の提携。また、クレジットカードの基盤といえる消費市場で発生した小売りの再編に端を発し、合従連衡の形態も従来とは異なる。
新カード会社の設立でセブンはシナジー発揮
両者で基本合意したのは、西武百貨店、そごうのクレジットカード事業について。クレディセゾンでは創業以来、同じグループといえる西武百貨店の提携カード事業を担ってきた。それは同社にとってマザーマーケットといっても過言ではない。セブン&アイHDが2006年6月に当時のミレニアムリテイリング(現在のそごう・西武)を完全子会社化した後も、クレディセゾンでは西武百貨店の「クラブ・オンカードセゾン」、そごうの「ミレニアムカードセゾン」と提携カード事業を継続している。
一方、セブン&アイHDは自前のカード会社、アイワイ・カード・サービスがイトーヨーカ堂をメインステージにクレジットカードを発行。独自の有利なポイントサービスを提供している。つまり、セブン&アイ・グループの中でポイント制度が異なるカード事業が併存し、シナジーを期待しにくい状況にあった。
これを打開するため、昨年9月から検討が開始され、今回の業務提携につながった。具体的なスキームは、クレディセゾンが有するそごう・西武の提携カード事業を切り出し、別会社化するというもの。要は、新たなクレジットカード会社の設立であり(図)、11年4月にはセブンが新会社の株式51%を取得し子会社化する。取締役はセブンから3名、クレディセゾンが2名を派遣。当面、社長にはクレディセゾン出身者が就く。また、営業担当者などの社員はクレディセゾンからの出向者が大半で、基本的に同社のビジネススタイルを踏襲。カード事業の基盤インフラであるプロセシング(事務処理など)はクレディセゾンへのアウトソーシングで賄われる。