5時間半で800km!VW「ジェッタ」爆走の結末 ドイツ・アウトバーンでひたすらエンジン全開
給油後、再び全開走行第2ヒートが始まった。大都市圏内に入ると通行量は多くなり、アクセルをゆるめなければならない状況も多くなる。が、絶対速度が速くないので、前方のクルマの位置と速度の関係をしっかり読みながら走れば、ロスは少なく抑えられる。
走り始めは「まったくもうー!!」みたいな感覚だったが、走るにつれてだんだん面白くなっていった。周囲の状況をしっかり観察。あれこれ考えながら速度を落とさずに走る……チョッピリ高度なゲームをやっているような面白さ、楽しさを感じるようになったということだ。
突然降り始めた雪…!
そんなことで、J氏とのランデブー走行は順調に快調に進んでいったのだが……突然、思いもよらない状況に見舞われた。なんと、雪が降り始めたのだ! ミュンヘンの少し手前辺りだっただろうか。目的地まではまだ150~160kmは残っていた。
雪の降りようはけっこう本格的。ただし、みぞれとまではいえないものの、水気が多く、積もりにくい雪だったこと、視界はなんとか確保される状況だったことは幸いだった。試しに少し強いブレーキを踏んでみたが、そこそこ効いた。これなら「なんとかなる!」と思った。
J氏も同じ判断をしたのだろう。降り始めはペースダウンしたものの、早々にペースは上がり始めた。さすがに全開ではなかったが、かなりのハイペースに戻るまで時間はかからなかった。アウトバーンを降りて、美しい湖水地方のホテルに着いたのは18:20頃。なんとなく「心地よい達成感!」を感じたものだ。
「部屋に荷物を置いてこられる時間はありますね!」といった会話を、J氏と交わしたことを覚えている。J氏は、ディナーの開始時間を30分ほど遅らせるよう手配したようだが、その時間内に到着したのは、1台か2台か……だったと思う。
僕はディナーをすませて部屋に戻ったが、翌朝、J氏に聞いたら、「いちばん遅かった到着は23:00を回っていた」そうだ。
いろいろな「クルマの旅」をしてきたが、「VWジェッタで爆走!?」編は、強く記憶に残っている。つい最近もJ氏とランチをしたが、そのときも話題に出て大笑いした。J氏にとっても忘れられない旅だったようだ。
(文:岡崎宏司/自動車ジャーナリスト)
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