コロナ後遺症で「歯が抜ける」という衝撃の実態 専門家を驚かす意外な影響がまたしても

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ただ、すでに存在している歯科的な問題がコロナの感染で悪化することは考えられる、とオカノ氏は付け加える。重篤な症状から回復した後だったり、患者が長期の闘病を強いられたりしていた場合には、その可能性は特に高まる。

医師はこうした可能性にもっと目を向けるべきだ、と指摘する専門家もいる。というのは、アメリカ疾病対策センター(CDC)の2012年の報告によると、30歳以上の47%が何らかの歯周病を患っているからだ。歯周病が進行すると、歯を支えている骨が溶ける。

歯が抜けるといった歯科的な問題も含めて、「コロナから回復した患者が何カ月にもわたって苦しんでいる後遺症の調査はまだ始まったばかりだ」と、血管の健康と病気を研究する非営利団体「血管新生財団」の最高経営責任者、ウィリアム・リー医師は語る。「困惑するような症状によって、患者の日常生活には支障が出ている」。

血が出ることもなく歯が抜けた例も

ケミリさんは以前よりも歯の手入れを念入りに行うようになっていたが、コロナに感染する前から歯科的な問題を抱えていた。歯が抜けた翌日に彼女が訪れた歯科医の診断では、歯茎に炎症はなかった。

ただ、喫煙により歯槽骨の骨量に著しい減少が見られたため、歯槽骨の再建を扱う専門医を紹介された。治療費は5万ドル(約520万円)近くになる見込みだ。

ケミリさんの歯が抜けた日、彼女のパートナーはコロナ感染経験者のためのフェイスブックページ「サバイバー・コープ」にアクセスした。すると、ページ発起人のダイアナ・ベレントさんが、こんな情報を書き込んでいた。12歳になる自分の息子の永久歯が、コロナで軽度の症状が出た数カ月後に抜けたというのだ。担当の矯正歯科医によれば、ベレントさんの息子の歯には何の問題もなく、健康だった。

このフェイスブックページには、血が出ることもなく歯が抜けた、と投稿しているメンバーが他にもいた。ある女性は、アイスクリームを食べていて歯が抜けた。ニュージャージー州エジソン在住のアイリーン・ルチアーノさんは11月上旬、デンタルフロスをかけているときに大臼歯が抜けた。

「そんなことが起こるなんて夢にも思わなかった。歯が抜け落ちるなんて」とルチアーノさん。

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