ローランド社長がMBOに込めた改革の思い 創業者と対立、どこで意見が食い違ったのか

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それから製造・販売コストが高いために、製品の価格が高く、「いいものなのはわかるけど、高いよね」と、手を伸ばしてもらえなくなっている面もある。販売は各国で50%ずつを出資する合弁会社を作り、個別最適というやり方で進めてきたが、これだけネット通販が盛んになっている今、変えていく必要が生じている。現地に任せっきりにしているだけではいけない。

――お客さんとエンジニアのギャップが生まれてしまった最大の原因は。

社員が顧客ではなく、上(経営陣)を向いて仕事をするようになったからだと思う。これは紛れもなく、マネジメントの責任だ。経営陣が「お客さんのほうを向け」というメッセージをしっかり出してこなかったために、社員がトップを気にしながら製品を作るようになってしまったのだろう。

だから私が昨年社長に就いた時、全社員が顧客のほうを向いて仕事のできる会社にしたい、いつでも誰でも意見が言える会社にしたい、スピード感とチャレンジ精神を持った会社に生まれ変わりたい、ということを掲げた。とにかく、お客さんと距離ができてしまったことは一番の問題だと思っている。

ローランドを存続させたい思いは同じ

――海外の関係先とのコミュニケーションについても、梯氏は「信頼をなくしてしまうようなやり方だったのではないか」と指摘していたが。

ヨーロッパの生産拠点の閉鎖については、代替案の検討も含め、現地と何度も協議を繰り返した。向こうの社長とも頻繁にコミュニケーションを取っていたつもりだ。

ただ、上場企業のルールでは、役員会での最終決定時に、特別損失の見込みを含めて即時開示しなければならず、その後すぐに新聞にも載ってしまう。そこに現地の社長が疑問を感じられたのかもしれないが、こちらとしてはそうするほかないことだった。

もちろん、工場の閉鎖ともなれば、当事者たちにとっては厳しい判断だ。こちらとしてはできるだけの誠意は見せ、かなり時間をかけ、努力をした経緯がある。その結果に、きちんと合意していただけていると思っている。

――では、これまで海外の関係先に対して不誠実であったり、誤解を招いたりするような対応はしていないと。

そう考えている。

――梯氏に伝えたいことは。

梯さんと現経営陣の間には、いろいろ方法論の違いこそあるが、すばらしいローランドを取り戻したい、存続させていきたいという思いは同じだろう。それを必ず実現するために、私たちがやろうとしていることをわかっていただきたい。

稼げないローランドでは、新たな夢を語ることもできない。それでも、今我慢すれば、また将来に向けた先行投資ができる。今後、細かい部分でタイヨウさんと食い違うことがあるかもしれないが、「稼ぐ力を蓄えるんだ」という目標さえ共有していれば、間違った方向に進むことはないはずだ。

※ 詳しくは「週刊東洋経済」2014年6月7日号(6月2日発売)掲載の「核心リポート04」をご覧ください。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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