リバウンドの株高・円安、持続性に疑問も 日経平均の反発力は?

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5月26日、日本株とドル/円のリバウンドが継続しているが、日本独自の材料が出たというわけではなく、あくまで買い戻し中心だという。都内の株価ボードで昨年7月撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 26日 ロイター] - 日本株とドル/円のリバウンドが継続している。世界経済の減速懸念が後退しているほか、ウクライナ大統領選で親欧米派の候補が勝利見通しとなったことで安心感が広がった。ただ、日本独自の材料が出たというわけではなく、あくまで買い戻し中心だという。

欧州の議会選挙ではEU統合に懐疑的な政党が躍進するなど不安材料も浮上。金利は低水準のままであり、株高・円安の持続性を疑問視する声も出ている。

証券株の戻り鮮明

週明け26日の東京株式市場で目立ったのは証券株<.ISECU.T>の上昇だ。上昇率は2.55%と東証33業種の中でトップ。野村ホールディングス<8604.T>などがけん引した。証券株は今年に入ってからの日本株の下落や市場出来高の減少を嫌気され、昨年末から5月21日までマイナス26.9%と先行して売られてきたが、22日以降、反転基調を鮮明にしてきている。

相場の先行指標的な証券株の切り返しに、市場では「相場全体の戻りを期待させる」(準大手証券)との声も出始めた。日経平均は5月21日終値1万4042円から、26日前場の1万4567円まで2日半で約500円上昇。3月、4月の戻り相場で2度跳ね返されてきた75日移動平均線を上回ってきた。日経平均の予想株価収益率(PER)はいまだ13倍台。米S&Pの15倍台に比べ出遅れ感は強い。

ドル/円も26日の市場で、一時102.05円と約1週間半ぶり高値をつけた。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM通貨先物(5月20日までの週)によると、投機筋の円の売り越しは5万3787枚とアベノミクス相場開始直後の12年11月20日以来の水準まで減少。ポジションが軽くなっており、戻りに弾みがつきやすくなっている。

リバウンドの原動力は、グローバル投資家の買いとみられている。22日に発表された5月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が5カ月ぶりの高水準となったことなどをきっかけに、景気減速懸念が後退。25日に投開票が行われたウクライナ大統領選では、実業家で親欧米派のペトロ・ポロシェンコ氏が過半数の支持を集めたとみられ、市場の安心感につながっている。日本株にも「前週末からヘッジファンドや短期筋の買いが増えてきている」(大手証券トレーダー)という。

日米金利は依然低水準

ただ、26日の東証1部売買代金は1兆5308億円と商いは薄いままだ。26日は米英市場が休場とはいえ、株価が反発基調に入った22日以降も2兆円付近と市場エネルギーはまだ乏しい。「海外ロング勢は様子見で、日経平均で1万5000円を上抜けていく力強さは感じられない」(前出の大手証券トレーダー)との指摘もある。

岡三証券・投資戦略部シニアストラテジストの大場敬史氏は「アベノミクスの成長戦略に対する期待は大きく後退しており、日本独自の材料で上昇しているわけではない。出来高も薄い。株高の持続性には疑問だ」との見方を示す。

実際、株高・円安が続いていながら、金利は低いままだ。米国の10年米債利回りは前週末の23日の市場で2.536%に低下。日本の10年債利回りも依然0.6%以下だ。マーケット全体にリスクオンムードが広がっているわけではない。

SMBC日興証券のチーフ金利ストラテジストの森田長太郎氏は、26日付のリポートの中で、先週末の時点で日経平均は米債金利からの推計値で500円超、ドル円で1円弱、割高な水準まで上昇したと指摘。「米債金利が上昇して(株価に)収れんするというケースもないわけではないだろうが、過去においては、ドライバーは基本的に米債金利だった」との見方を示している。

EU統合に懐疑的な政党が躍進

さらに欧州では警戒感が再び強まってきている。ウクライナの大統領選は無事通過しそうだが、22─25日投票の欧州議会選挙では、フランスでは極右の国民戦線(FN)が国内で初めて最多票を集めるなど、欧州連合(EU)統合に懐疑的な政党が躍進した。ベルギーで25日に実施された総選挙は、北部オランダ圏の分離独立を訴える中道右派の「新フランデレン同盟(N─VA)」が第1党になる見通し。

市場では「緊縮財政で生活が苦しくなった国民の反発ではないか。ただ、もしEU離脱や財政拡大路線に回帰ということになれば、再び、重債務国への市場の目は厳しくなり、金利は上昇反転、金融問題が再び起きかねない」(野村証券・投資情報部エクイティ・マーケット・ストラテジストの村山誠氏)と懸念する声も強まっている。

米資産運用会社ブラックロックの幹部は23日、主要債券ファンドの1つでユーロ圏周辺国の国債保有を金融危機以降で最も低い水準まで縮小したことを明らかにした。

リスクオフの動きが強まれば、ようやくリバウンドしたドル/円にも水を差しかねない。「投機筋のユーロショートポジションが大きくなってきているようだ。200日移動平均線をユーロ/ドルは割り込み、ユーロ/円も視界に入ってきた。ユーロ脱退と言った話が広がれば、高値圏にある米株が下落、リスクオフの円高が進む可能性もある」(IG証券マーケットアナリストの石川順一氏)という。円高に抵抗できるほど、いまの日本株の足腰はしっかりしていない。

(伊賀大記 編集:佐々木美和)

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