16カ月の調査であぶり出された「GAFA」12の罪 米下院議会が報告書で事業分割を提案した
——アプリストアでの支配力を乱用し、競合他社を痛めつけている。競合他社のアプリの検索順位を引き下げたり、顧客との連絡手段に制限を加えたり、アプリストアでの取り扱いを取りやめたりすることによって、だ。アップルがルールを支配するアプリストアには不透明な点が多く、アプリ開発者が異議を申し立てる手段はほとんどない。
——アップルは自社のアプリやサービスをアップル製の端末にプリインストールし、デフォルトの設定とすることで、自らが有利となる状況をつくり出している。例えば、iPhoneの利用者がウェブページ、楽曲、または住所のリンクをクリックすると、通常はアップルのアプリが立ち上がる。さらにアップルのサービスはアップルのソフトウエアの深い部分で統合されていることから、サードパーティーのアプリやサービスによる競争が難しくなっている。
「内なる独占の下でのなれ合い」
フェイスブック
——ソーシャルネットワーキング市場におけるフェイスブックの独占力は「極めて強固」であり、同社は戦略的買収やサービスの模倣などを通じて競争相手を排除してきた。買収したデータ分析企業オナボなどの技術を活用することでフェイスブックは、アプリストアで急成長し、今後競争相手となる可能性のあるサービスの出現を「いち早く察知」できるようになっている。
——フェイスブックはあまりにも強大となったため、内部では最大の競合相手はグループ内に存在すると考えられるようになっている。傘下のインスタグラムが急速に成長し、フェイスブックの人気を脅かすようになったため、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は戦略を素早く変更。ある従業員はこれを「内なる独占の下でのなれ合い」と呼んだ。
——競争の不在から、利用者のプライバシーが侵害されている。偽情報や有害コンテンツが同社のあらゆるサービスで拡散されているが、こうしたサービスを定期的に利用しているユーザーは30億人を超える。
グーグル
——第三者から許可なく情報を収集して検索能力を向上させることで、検索業界における独占的地位を維持してきた。さらにグーグルは自社サービスが上位に、競合相手のサービスが下位に表示されるように検索の仕組みを変更している。
——利用者が真っ先に使う検索エンジンがグーグルとなるように、あらゆる策をろうしてきた。過去にはスマートフォンのメーカーに対し、グーグルが手がけるアンドロイドOSを利用する条件として、グーグル検索のインストールとアプリストア「グーグルプレイ」の利用を強要していた。アップルには100億ドル以上を支払い、iPhoneでグーグルをデフォルトの検索エンジンとするよう働きかけた。ブラウザの「グーグルクローム」では、利用者が別の検索エンジンに切り替えるのを防ぐ対策が講じられている。
——9つのサービスで10億人を超す利用者を持つグーグルは大量のデータを入手し、これを「ほぼ完璧な市場戦略情報」として利用することで、独占的地位の強化につなげている。人々がどのような新製品や新サービスを利用しているかリアルタイムで情報を追跡することで、競争相手の動きを細かく監視しているのだ。
(執筆:Mike Isaac記者、 Steve Lohr記者、 Jack Nicas記者、Daisuke Wakabayashi記者)
(C)2020 The New York Times News Services
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