地域の特徴が最も色濃く出ているのが宮崎である。九州と言えばお酒、特に焼酎が有名だが、宮崎の売上高1位は芋焼酎「黒霧島」「白霧島」「赤霧島」の霧島酒造だ。競争の激しい酒類業界の中でも同社は存在感を高めており、直近2019年度の売上高は625億円にのぼる。
ちなみに2位が「宮崎牛」を扱うミヤチク(売上高563億円)。宮崎は全国2位の黒毛和牛生産県でもある。3位はブロイラー(食用の若鶏)生産販売で国内首位の児湯食鳥(こゆしょくちょう、同555億円)だった。同県のブロイラー飼養羽数は、鹿児島と並んで日本トップクラスである。
長崎は、1857年に三菱重工業「長崎造船所」の前身の建設が始まって以来、造船業で栄えてきた。県内トップは造船業界で国内6位の大島造船所(1107億円)。造船の経営環境は中国・韓国勢との競争で厳しく、三菱重工業は、長崎造船所の「香焼(こうやぎ)工場」を大島造船所に売却しようと検討しているが、今後成長できるか、要注目だ。
住友電装、三谷商事…、高シェア企業も
北陸の富山は300年以上前に置き薬(配置薬)が生まれた場所として知られている。売上高の県内1位は北陸電力(5756億円)だが、3位はジェネリック医薬品(後発医薬品)で国内トップの日医工(1839億円)だ。エーザイの後発薬事業を買収し、武田薬品工業グループの同事業買収でも合意するなど、規模拡大が続く。
愛知はトヨタ自動車(12兆6344億円)、静岡はスズキ(1兆9402億円)、広島ではマツダ(2兆5843億円)、山梨ではファナック(4706億円)、長野はセイコーエプソン(7904億円)。いわずとしれた「地域の顔役」企業が、これらの県のトップに並んでいる。
隠れた高シェア企業もある。三重トップの住友電装(5589億円)は自動車部品のワイヤーハーネスの世界大手で、住友電気工業の子会社だ。福井で首位の三谷商事(3534億円)は生コンクリートの販売量で国内1位の企業だ。