「クイズ!脳ベルSHOW」が超人気番組になれた訳 飲酒にカンニング「何でもアリ」なBSの異端児
この狙いは、『クイズ!脳ベルSHOW』でも活きている。
昭和を彩った往年のヒーローが多々出演するが、「主な視聴者層である40代以上の方にとって、スターだったり、あこがれを抱いたりするような有名人にオファーをしています。商品の名前が思い出せずに悩んでいる芸能人を見て、視聴者からは『あのスターも思い出せないんだ! 勇気づけられる』といった反響も数多く届きます。視聴者が、当時に戻れるような雰囲気と懐かしさを心がけていますね」と話すのは、番組を制作するD:COMPLEXの小沢英治プロデューサー。
また同番組では、氏神一番、JAGUAR(ジャガーさん)、ニューロティカ・アツシといった面々が準レギュラーと言っていいほど、たびたびパネラーとして登場する。顔面に盛大なメイクを施した人間が真面目にクイズをしている――、プロレスラーの藤原喜明(組長)が登場した際は、収録中にウィスキーを飲み始め、酒の力でクイズを乗り切る、なんてこともあった。否応なしに釘付けにならざるをえないのだ。
多くの芸能人が絶賛! 岡田圭右の仕切り
芸人、プロレスラー、落語家、俳優、歌手などなど、百花繚乱とも百鬼夜行とも呼びたくなるジャンルレスなゲストたち。80代のゲストが出演することも珍しくなければ、よくよく話を聞くと本業がスナック経営者というキャリア数年のほぼ素人の演歌歌手まで登場する。それをMCである岡田圭右と川野良子アナウンサーが仕切っていく。
コロナ禍、番組内で「私も大好き! 脳ベル応援団」として千原ジュニア、伊集院光、清水ミチコ、ロッチ中岡、東野幸治がVTR出演したが、異口同音に岡田圭右の仕切りのすさまじさを絶賛している。
「無回答で出されたおばあちゃんのタレントさんに『潔い!』と、恥をかかせずにポンっと良いことを言う岡田君のやさしさ」とは伊集院光のコメントだ。視聴者からも大好評で、大人気番組へと押し上げた背景を紐解くとき、岡田の仕切りなくして語ることはできない(もちろん良子さんのサポートもである)。
「脳ベルSHOW誕生以前に、30分の医療番組のMCを岡田さんに担当してもらったのですが、ひな壇のときとはまったく違う丁寧かつ繊細な仕切りに感心しました。脳ベルSHOWのMCを誰にするか考えたとき、MCのイメージがあまりない新鮮な印象を与える岡田さんが適任だと考えました。彼自身にとってヒーローであるスポーツ選手やプロレスラーに出演してもらう機会が多いのは、彼のテンションを上げるためでもあるんですよ」(谷口氏)
往年のスターである彼ら彼女らの、歳を重ねたからこその味。それを引き出す岡田のMCによって、「この人、こんなに面白いの!?」と新たな魅力の扉が開かれるのは、この番組の“あるある”だろう。堀田眞三、藤巻潤などは最たる例だ。
かつて、故・野村克也氏が選手を再生させることから「野村再生工場」と称されたが、「岡田再生工場」と呼びたくなるほどベテラン芸能人を、現在進行形で光り輝かせる。
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