京アニ放火から1年、「酷似事件」に探る"先行き"

その事件は京アニ放火と同じ7月に起きた…

そして、2011年10月31日の判決公判。判決の中で、大阪地裁は最大の争点である責任能力について、「本件犯行の端緒は精神疾患によってもたらされたものである」と認めている。精神疾患から妄想を抱き、犯行動機が形成されたとする。

しかし判決は、以下の点を指摘。

・被告人は無差別に多くの人を殺そうと、日曜日の午後の時間帯を犯行日時に選んだこと
・日常生活を支障なく送っていたこと
・当日ガソリンの購入にあてにしていたガソリンスタンドが閉まっていても、3軒をまわって確実に購入していること

これらのことなどから、「決めたことを確実に実行するため、極めて合理的に行動している。犯行後の行動にも異常な点は認められない」「被告人が完全責任能力を有していたことに疑いはない」と結論づけた。

そして、「被告人の世間への恨みなどが精神疾患に影響されたものであることからすれば、治療により、真の反省や謝罪の気持ちを抱かせ、更生させることができるかもしれない。しかし、先に述べたとおり、今回の犯行はあまりにも凶悪で重大なものである。刑を定めるに当たり、更生の可能性を過度に有利に考慮することはできない」として、死刑を言い渡している。

この死刑判決は、2016年2月23日に最高裁で確定している。

青葉容疑者と重なる"ある死刑囚"の行動

青葉容疑者の言う「小説を盗まれた」とは何を指すのか、具体的にはなっていないが、おそらくは自分で被害妄想的に思い込んだのだろう。妄想といっても、幻聴が聞こえていた、というものとは違う。

犯行に及ぶため、ガソリンを運ぶ携行缶と台車を事前にホームセンターで購入している。なおかつ直前には、まきやすいようにバケツに移し替えた。決めたことを確実に実行するため、極めて合理的に行動している。

犯行の3日前に京都に移動して、本社や第2スタジオ周辺を歩いているが、これを下見とすれば、より計画性がうかがえる。

犯行現場には、6本の包丁とハンマーを持参していた。そこからは強い殺意があったことがわかる。

それどころか、私がかつて往復書簡を交わした、池袋通り魔事件の造田博死刑囚の犯行と重なる(拙著『池袋通り魔との往復書簡』に詳述)。

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